野村総合研究所(NRI)は8月4日、「働き方改革」を推進するためのコンサルティングサービスとして、人工知能を活用し、個々の社員のスケジュール情報を分析し、社員の時間の使い方を可視化し、改善を図るサービスの提供を開始した。

働き方改革コンサルティングサービスの実施手順

同社は、ホワイトカラーの働き方を可視化し、働き方を効率化するための注力点を定量的に示すため、スケジュール情報を人工知能で分類する技術を開発。社員の時間の使い方を分析することで、課題の発見や改善案の導出につなげることができるようになるという。

開発した技術は「顧客との打ち合わせ」「社内会議」「移動」「私用」など分類したい切り口に合わせて、スケジュールに登録されている件名の特徴をRNN(リカレントニューラルネットワーク:人間の脳の情報処理の働きを模した数学モデルであるニューラルネットワークにおいて、前の時刻の中間層を次の時刻の入力層に入れて学習することで、時系列情報を考慮することができる多層構造のもの)型の人工知能に学習させ、時間の使い方を色分けする。

人工知能を活用することで多数の社員の長期間スケジュールを自動で色分けすることを可能とし、社員がどのように時間を使っているのかを明確にすることで、働き方改革の切り口となる課題を定量的に示すことができるようになるという。

人工知能で分類した社員のスケジュール情報の例

このような社員個人のスケジュール情報を、グループ単位や部署単位で集計・分析を可能にすることで、部署別の特徴が明確になり、分析結果は「働き方ダッシュボード」として利用企業ごとに、厳重にアクセス管理を施した1つのウェブサイトの形で提供する。

ダッシュボードの主な機能として「労働時間の内訳の集計」「社員の空間移動の可視化」「社員の人的ネットワークの可視化」の3点を挙げている。

労働時間の内訳の集計では、特定期間(1年など)について、社員のスケジュール情報を「顧客との打ち合わせ」「社内会議」「移動」「私用」などと色分けした上で、その人の平均的な1日の使い方を表示し、部署単位、本部単位に集計することで、効率化すべき仕事を明確化する。

労働時間の集計・分析結果の例

社員の空間移動の可視化については、外回りや出張が多い職種の社員は、活動エリアなどをヒートマップ(社員がどこで頻繁に活動しているかを、地図上でサーモグラフィー状に可視化したもの)を利用して可視化。テレワークツールの導入やサテライトオフィスの活用の計画を練る際に活用するという。

社員の空間移動を可視化した例

社員の人的ネットワークを可視化した例

社員の人的ネットワークの可視化に関しては、社内の人的つながりを把握するため会議参加者の情報などを利用し、社内の誰とどの程度の頻度で打ち合わせをしているかを可視化する。

ダッシュボードを活用して社員の働き方を分析することで、改革の切り口が明確になるという。同社では、コンサルティングサービスとして、さらに深い分析を行い、ITツールやルールの導入等の取るべき最終的な改善策を提案する。また、継続してダッシュボードを利用することにより、社員の生産性および改善策の効果の定量評価が可能になるとしている。