東北大、ミカンのポリフェノールが緑内障治療の一助となる可能性を示唆

東北大学は、同大学大学院医学系研究科 眼科学分野の中澤徹教授、前川重人医師、佐藤孝太助教らの研究グループが、ポリフェノールの一種であるヘスペリジンがマウスの網膜神経節細胞を保護する効果を示すことを明らかにしたことを発表した。この研究成果は7月31日、英国のオンライン科学雑誌「Scientific Reports」に掲載された。

マウス網膜障害に対するヘスペリジンの神経保護効果(出所:東北大ニュースリリース)

緑内障は網膜神経節細胞および視神経が障害されることで発症する、日本人の中途失明原因第一位の疾患である。現在、科学的根拠のある治療法として、薬物、レーザーまたは手術による眼圧下降療法があるが、日本の緑内障患者の多くは眼圧が正常範囲である正常眼圧緑内障であり、眼圧下降以外の治療法の開発が重要となっている。

そこで研究グループは、眼圧以外の緑内障へ影響を与える因子として酸化ストレスに着目し、41種の食品成分の中からマウス培養網膜細胞に対して抗酸化作用を有する素材を調査した結果、みかんの皮に含まれるポリフェノールの一種であるヘスペリジンが最も高い抗酸化能を持つことを見出した。

薬剤を注射して網膜の障害を誘導したマウスにヘスペリジンを投与したところ、投与しなかったマウスに比べ、生き残った網膜神経節細胞の数が多いことがわかった。これは、酸化ストレスの指標である脂質過酸化物や細胞死を誘導するタンパク質であるカルパインの活性化、炎症性サイトカインの発現を抑制することで、神経保護作用を示したためと考えられる。さらに、ヘスペリジンは網膜障害により生じる脳波の減弱や視力低下を防ぐことが電気生理実験や行動学的評価から明らかとなった。

この結果により、ヘスペリジンには網膜神経節細胞を保護する効果があること、またヘスペリジンは食品素材であることから、サプリメント等で内服することにより緑内障性の網膜神経節細胞障害を軽減させる可能性があることが示された。研究グループは、ヘスペリジンが持つ抗酸化作用が緑内障治療の一助となることが期待されるとしている。

関連キーワード


人気記事

一覧

イチオシ記事

新着記事