IDC Japanは8月1日、国内企業のITサービス購買行動調査結果を発表した。これによると、国内企業がデジタルトランスフォーメーション(DX)のパートナーを選ぶ際に重視する情報入手先は、IT部門、業務部門を問わず、ベンダーとの直截な人的コンタクトや、業界団体などにおける他社(ユーザー企業)からの情報など「アナログ」な経路が上位に挙がったという。

デジタル技術を活用して企業や組織の事業、プロセス変革を行うDXでは、ベンダー/パートナー選定においてもIT部門と、事業部門や間接部門などの業務部門が共同して行うことが増えてくると予測されている。そのため、同社ではIT部門、業務部門それぞれに対してDX時代のパートナー選定基準、選定にあたっての情報入手先などに関するアンケート調査と、直接の取材を行った。

DXパートナーの情報入手先 資料:IDC Japan

DXのパートナー選定をする際に重視する情報入手先を尋ねたところ、IT部門、業務部門とも「当該パートナーとの人的コンタクト」がそれぞれ41.0%、28.5%で1位となり、「他社の知り合いなどからの情報」(IT部門:28.6%、非IT部門21.0%)、「第三者の意見/見解」(IT部門:28.6%、業務部門19.5%)が続いた。

DXの浸透に従い、ITベンダーもデジタルマーケティングを強化し始めているが、重視度という点ではベンダーの営業などからの人的なコンタクトが重視されていることがわかったという。また、2位、3位においても、人的な関係をベースとした「アナログ」なものが多い結果となった。しかし、「思い当たらない」がIT部門で21.8%、業務部門で44.0%に上り、DX時代のマーケティングパターンは、デマンドサイド側から見る限りまだ決まっていないとも言えると指摘。

このような結果はベンダー選定結果にも影響を及ぼしており、DXのパートナーとして実際に選ばれる企業/ベンダーを聞いたところ、IT部門、業務部門ともに「これまで取引のあったベンダー(業務システムなどの構築ベンダー)に、新たなパートナーが加わる」とした回答者が、全体の半数を超えた(「分からない」とした回答者を除いて集計)。既存ベンダーがDXにおいても優位な位置にあることが判明したという。

このように、企業のベンダー/パートナー選定は、一見するとDX時代になっても大きく変わらないと言えるものの、今後DXが本格化し、より多くのプレーヤーが市場に参入した際に、大きく変わる可能性があるという。同社のリサーチ第3ユニットグループディレクターの寄藤幸治氏は「企業のDXパートナーを目指す企業は、企業がパートナーに求める基準に変化が起きているのかを見極めつつ、デジタルとアナログを融合した顧客アプローチ、営業/マーケティング戦略を考えていく必要がある」と述べている。