今でこそ業務用のフラッグシッププリンタから個人向けのスマホ対応小型プリンタ、インクジェット複合機まで、PC関連事業を展開しているブラザー工業だが、その原点は家庭用ミシンの製造である。同社は27日、1947年に初めてミシンを輸出してから70周年を迎えると発表した。

ブラザー初の輸出製品 家庭用ミシン「HA1-B3型」

ミシンの注油・包装をする様子

ブラザー工業の原点は、1908年に創業した輸入ミシンの修理・部品の製造を行う「安井ミシン商会」。10人兄弟の長男だった安井正義が家業を継いだのち、兄弟で力を合わせるという願いを込め、1926年に社名を「安井ミシン兄弟商会」と改称。商標名は「兄弟」を英訳した「ブラザー(BROTHER)」とした。

太平洋戦争時に空襲で主力工場の大半を焼失したが、1946年には生産を再開。1947年5月に家庭用ミシン「HA1-B3型」200台を上海向けに輸出し、翌1948年には米国にも輸出を開始した。ミシンの製造で培った技術から多角化をすすめ、プリンタ・複合機や産業機器などの事業領域に進出。1962年に社名をブラザー工業とした。プリンティング事業が主力事業に成長した現在も、家庭用・工業用ミシンの製造を手がけている。