アクセンチュアは7月27日、調査レポート「テクノロジービジョン2017 保険業界向け」の内容を発表した。同レポートは、テクノロジー分野の有識者や業界の専門家へのインタビュー、および世界31カ国550人を超える保険業界の経営幹部を対象とした調査に基づいて作成。なお、この中には、31名の国内保険会社の経営層およびIT部門責任者が含まれている。

同レポートによると、調査対象である保険会社の経営幹部の75%(日本では67%)が、AIにより今後3年間で保険業界全体が大きく変わる、もしくは完全に変容すると考えていることが明らかになった。また、調査対象の79%(日本では74%)は、保険会社の情報収集と顧客とのコミュニケーションの方法はAIによって大きく変わると考えているという。

実際に業界におけるAI導入の拡大を裏付けるデータとして、68%(日本では61%)の回答者が、現在、顧客とのコミュニケーション向上にむけて、AIなどを使ったインテリジェント・バーチャル・アシスタントを全社もしくは特定の事業分野で使用していることがわかった。ユーザーインターフェースにAIを組み込むメリットを問う質問では、55%(日本では48%)が「データ分析の改善と顧客理解の強化」と回答したという。

一方で、データ品質やプライバシー保護、既存IT基盤との互換性といった課題も浮かび上がり、多くの保険会社が既存技術とAIの統合に苦慮していることも明らかになったとしている。

同社 金融サービス本部 保険グループ統括 マネジング・ディレクターの林岳郎氏は「顧客とのコミュニケーションをデザインする上では、AIが人の業務を代替するのではなく、顧客対応を最適化するためにAIと人がコラボレーションするという発想が必要となってくる」と述べた。