大手露光装置メーカーのASMLは7月19日(オランダ時間)、2017年第2四半期の業績を発表。半導体産業の好況とEUV需要急伸のおかげで、2017年通期の売上高が前年比で25%増となる見込みであり、この傾向は2018年も続くとの見方を示した。

EUV装置の受注残は27台、金額にして28億ユーロ

同四半期の売り上げは前四半期比8.2%増となる21億ドルで、粗利率は45%となった。また、同四半期中に同社はEUV露光装置を8台追加受注したとしており、これで同社が抱えるEUV露光装置の受注残は合計で27台となり、金額にして28億ユーロに達するとする。つまり、一台当たりの価格は1億ユーロ(130億円。7月21日のレートである約130円での換算)以上となる計算だ。

また、既存のDUVリソグラフィとして、新たな液浸ArF露光装置「TWINSCAN NXT:2000i」を同四半期中に発表している。同システムには、7/5nmノードでEUVとのミックス・アンド・マッチにより2.5nmのオーバーレイを可能にするいくつかのハードウェア上の新技術が含まれているという。

また、3D NANDフラッシュメモリの顧客からのKrFドライ露光装置の需要も引き続き堅調で、1台あたり1日5300枚のウェハ露光が可能な「TWINSCAN XT:860システム」の受注残は20台以上となっているほか、ホリスティックリソグラフィ(計測やシミュレーションを採用し歩留まり向上と生産性向上を目指す統合的なリソグラフィ)向けに、新たな計測システム「YieldStar 375F」も出荷。同計測システムは、より正確な計測データを迅速に生成する新たな光学技術を備えたものとなっているとしている。

そしてEUVリソグラフィでは、本社施設に設置している「TWINSCAN NXE:3400B」にアップグレードされたEUV光源(おそらく筆者の予測としては250Wと思われる)を搭載することで、毎時125枚のスループット仕様へと性能が向上したとしている。ただし、現在は、大量生産に必要な生産性をさらに向上させることに重点を置いて開発中としており、まだ発売に至っていない。

図 ASMLの量産向けEUVリソグラフィ装置最新機種「TWINSCAN NXE:3400B」 (出所:ASML Webサイト)

第3四半期も増収の見通し

ASMLは2017年第3四半期について、EUV露光装置の売り上げとして約3億ユーロを見込んでいるほか、全体では売上高22億ドル、粗利率43%、その他の収入約2,400万ユーロ、研究開発投資費3.15億ユーロなどの見通しを公開しており、同四半期中にNXE:3400Bを3台出荷する計画であるとしている。