普通で特別な毎日「過去の自分と記念写真」

ランドセルを背負った新一年生のくるみが半年前の記念写真の前を通り過ぎて登校していく。我が家の玄関には風雅とくるみの写真パネルが飾ってある。どちらも前回の誕生日に撮ったものだ。

もともと僕は人の写真を撮るのは好きだけれど、撮られるのは苦手だった。だから、記念写真にはあまり興味はなかった。でも、吉野弘さんの「一枚の写真」という素敵な詩に出会い考えが変わった。ひな飾りの前におめかしして座った幼い姉妹の写真を綴った詩はこう結ばれる。

この写真のシャッターを押したのは
多分、お父さまだが
お父さまの指に指を重ねて
同時にシャッターを押したものがいる
その名は「幸福」
幸福が一枚加わった
一枚の写真
(「吉野弘詩集」ハルキ文庫)

子どもたちの写真を撮ることができるのは幸せなこと。いつか子どもたちが大きくなった時に、僕が何を感じて撮っていたか、思いを巡らせてくれたら嬉しいと思う。だから普段の何気ない日常はもちろんだけど、何か特別な日に撮った記念写真も残せたらいいなと思うようになったのだ。