京大ら、関節リウマチの痛み発生に関与するタンパク質の働きを解明

京都大学は、ナルディライジンというタンパク質が関節リウマチ患者の関節液中で増加しており、それを欠損させたマウスでは関節リウマチに似た症状を持つ関節炎が軽くなることを発見したと発表した。また、ナルディライジンの働きを妨げる薬剤を関節に注射すると、炎症を引き起こすTNF-αの分泌が抑えられ、症状が軽くなることも分かった。これにより、関節リウマチの早期診断や治療薬の開発につながる可能性があるとしている。

同成果は、京都大学医学研究科の伊藤宣准教授、同研究生の藤井貴之氏、滋賀医科大学の西英一郎教授を中心とする研究グループによるもの。詳細は2017年7月13日付で英国の学術誌「RMD Open」に掲載された。

(A)、(B) ナルディライジンとTNF-αの濃度は、関節リウマチ(RA)の関節液で多い。(C)、(D) ナルディライジンの濃度は、TNF-αやCRP(炎症のマーカー)の濃度と関連がある(出所:京都大学Webサイト)

滋賀医科大学のグループが研究を続けているナルディライジンというタンパク質は、これまでの研究でTNF-αの分泌に関与することが分かっていた。しかし、TNF-αが関与する病気の1つである関節リウマチにおける役割はまだ明らかでなく、関節リウマチかどうか診断する際の指標となる物質もまだ十分に分かっていなかった。

同研究では、京都大学医学部附属病院で関節手術を行った変形性関節症の患者17名と関節リウマチの患者20名、計37名の関節液を解析したところ、関節リウマチ患者の関節液には非常に多くのナルディライジンが含まれていることが分かった。一方、変形性関節症患者の関節液にはほとんど含まれていないことも明らかとなった。

加えて、ナルディライジンがないマウスに関節リウマチ様関節炎を発症させたところ、関節炎が弱くなり、その細胞からはTNF-αの分泌が少なくなることが分かった。さらに、ナルディライジンを阻害する薬を関節内に注射すると、関節炎が弱くなることが判明した。

なお、本件については今後も研究が継続されるとのこと。研究者は、「まだ関節リウマチは診断や治療にたくさんの課題が残されている。今回の研究成果が少しでも課題の解決につながれば」と話している。



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