キーサイト・テクノロジーは7月12日、同社のプライベートカンファレンス「Keysight World2017」を都内で開催。併せて本社であるKeysight TechnologiesのPresident and CEOを務めるRon Nersesian氏が、同社の現状ならびに今後に向けた成長戦略をメディア向けに説明を行った。

右がKeysight TechnologiesのPresident and CEOを務めるRon Nersesian氏、左が同Chief Technology OfficerであるJay Alexander氏

同社はAgilent Technologiesから2014年に分社して以降、計測機器専業メーカーとしておよそ3年が経ったが、その間に、エレクトロニクス業界には5Gや自動運転といった大きな潮流が起こり、計測機器に対するニーズも大きく変わってきた。

また、そうしたニーズの変化に対応するかのように同社もAnite、Ixiaといった企業買収を実施。ポートフォリオの拡充や、事業分野の拡大を図ってきたが、そうした背景には、「例えば5Gでは従来よりも高い周波数への対応が求められるようになってきており、そうした分野の計測の実現が重要視されるようになってきている」(同)とするほか、システムの付加価値がハードウェアからソフトウェアへ移る中、そうした部分のサポートの充実などが求められるようになってきており、結果としてAniteやIxiaの買収に至ったと、市場の変化を説明する。

マーケットトレンドは、ソフトウェアやサービスを活用して企業の意思決定を行う方向にシフトしており、同社としても計測データから、結果を分析し、ビジネスの判断につながる情報を提供することを目指し、ソフトウェアやサービスの強化を進めている。その端的な例がAniteとIxiaの買収であり、これらの企業のポートフォリオが加わることで、例えばコミュニケーション分野では開発から運用までの幅広いカスタマへのアクセスが可能となった

「我々の基本的な考えはカスタマの技術革新を手助けする」(同)ということであり、カスタマのニーズの変化に併せて、従来の物理層を中心とした信号品質の測定から、上位レイヤのプロトコル解析、モバイルネットワーク関連の測定など対応範囲を拡大を図ってきたとのことで、将来的には、従来からの世界規模での強みを持つ計測機器と、その解析技術に変化はないものの、その解析結果などにインテリジェンスを加え、新たな発見をもたらすような分野に対する事業の拡大を図って行きたいとする。具体的な数値の明言は避けたが、同氏は、「全体の売り上げに対してソフトウェア、サービスともに13%程度の比率だが、将来的にはそうした分野をさらに伸ばしていきたい」としており、単なる計測機器の提供から、よりソリューションプロバイダに近い姿へと変化していくことを想定しているようだ。

Keysightが掲げている成長に向けた4つの注力プログラム。具体的には、「5Gワイヤレス分野で誰よりも早いソリューション提供の実現」、「自動車とエネルギー分野への事業拡大」、「保守や校正などのサービス分野のビジネスの拡大」、「ネットワークテストおよびネットワークビジビリティテスト分野への事業拡大」となっている

なお、日本地域に対して同氏は、「最先端技術をリードする国として重要な拠点」としており、すでに2020年の東京五輪開催での5Gの商用サービス開始に向けた5Gにおけるチャネルサウンディング(電波伝搬)試験や研究開発向けソリューション構築のほか、ミリ波レーダー、ECU試験、バッテリー試験といった自動車関連との連携などを推進してきているとし、今後もそうした技術革新を進めたい企業の手助けを進めることで、市場での存在感を高めることにつなげていきたいとした。