微細藻類からエネルギーをつくれる?!(沈晨晨 (シェン チェンチェン))

みなさん、こんにちは!チェンチェンです。

今回のブログは藻類シリーズの続編として、藻類からエネルギーを作る話しを少し詳しく紹介したいと思います。

藻類は成長が早く、短時間で増えるので、たくさんのエネルギーを取り出せると期待され、注目されています。
筑波大学の井上勲先生(2016年のみどり学術賞を受賞しました)と渡邉信先生のグループは、多くの研究機関などと連携して、微細藻類からエネルギーを取り出す研究開発を行っています。

藻類の研究開発に興味がある方へ、あるいは、夏休みの自由研究のテーマ探しをしている方に、先生方が用意した藻類を満喫するプログラムを紹介いたします!
7月25日(火)から29日までの期間、サマープログラムを筑波大学で実施します。
この期間、藻類の研究開発施設が一般公開されます!
また、渡邉信先生など第一線の研究者が、藻類の基礎知識からエネルギーの作り方、藻類研究の最前線まで、模擬講座や実技講習などを通して紹介してくれます。

渡邉先生の代表的な研究例はボトリオコッカスオーランチオキトリウムです。

20170711_shen_ボトリオコッカス①.jpg
ボトリオコッカスの顕微鏡写真。中に小さな粒々がいくつもある1つの袋が1個体で、その大きさは10マイクロメートルで、髪の毛の幅の10分の1くらいの小ささです。

20170711_shen_ボトリオコッカス②.jpg
上のボトリオコッカスを染色した写真です。光っている部分がオイルです。石油の成分に近いオイルをたくさん含んでいるため、エネルギー源として注目されています。

20170711_shen_オーランチオキトリウム①.png
オーランチオキトリウムの顕微鏡写真。1つの個体の大きさは10マイクロメートルで、髪の毛の幅の10分の1くらいのサイズです。

20170711_shen_オーランチオキトリウム②.png


上のオーランチオキトリウムを染色した写真。光っている部分がオイルです。このオイルも石油の成分に近いので、注目されています。

これらの藻類はオイルの含有量が大きいのですが、この藻類だけを増やし、他の藻類が増えないように管理するには、コストと手間がかかってしまいます。そこで先生のグループは発想を変え、単一の種を増やすのではなく、その土地の気候条件と環境に適応している「土着の藻類」を何種類も増殖させ、大量培養する研究開発を始めました。現在は福島県南相馬市で藻類からエネルギーを作る大規模開発を行っています。

20170711_shen_土着藻類①.jpg
土着の藻類の顕微鏡写真。複数の種が混ざっています。

20170711_shen_土着藻類②.jpg
上の藻類を染色した写真。光っている部分がオイルですが、ボトリオコッカスとオーランチオキトリウムと比べて、オイルの含有量は少ないです。

ボトリオコッカスとオーランチオキトリウムと比べて、土着の藻類ではオイルの含有量は少なくなるのですが、その土地の気候条件に合うので、1種類だけの藻類を増やすための管理をしなくても、生長と増殖のスピードが圧倒的に高いです。つまりかけるコストや手間が少なくて済みます。回収した藻類を「水熱液化」という高温高圧技術で処理すると、藻類中に含まれる有機物を燃料として使えるオイルへと変換することができます。渡邉先生は「何億年もかかって石油が生成される条件を、人為的に再現するわけです」と仰います。

単一種の藻類の研究から、その土地の気候条件に合う藻類の大規模開発まで、藻類バイオマスの研究開発はどんどん進んでいます。私たちの暮らしを支えるエネルギーが藻類から作られる時代はいつ来るのでしょうか?案外、近い将来には実現しているかも知れません。
また先生たちから新しい情報をお聞きしたら、皆さんに紹介しますね!



Author
執筆: 沈晨晨 (シェン チェンチェン)(日本科学未来館 科学コミュニケーター)
地球環境に関心があり、大学で環境科学を勉強しました。大学を卒業してから日本で留学した時海にいるプランクトンの世界を探求しました。研究すればするほど地球環境や生物多様性などの重要性がわかりました。従って多くの人々が環境に関心を持ってもらうように科学コミュニケーション能力が不可欠だと認識しましたので、2014年10月より未来館へ。

本記事は「日本科学未来館 科学コミュニケーターブログ」から提供を受けております。
著作権は提供各社に帰属します。


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