アジレント・テクノロジーは7月10日、日本市場に向けて超臨界流体クロマトグラフィ(SFC)製品を提供していくことを明らかにした。

日本市場への参入第1段製品としては、すでにグローバルで実績がある「Agilent 1260 Ininity II SFC」が投入される。同製品は、その名の通り、移動相に二酸化炭素の超臨界流体を用いたクロマトグラフィで、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)と比較して、異なる選択性を得ることが可能なほか、高速に分離・分析することが可能であり、SFCのほか、HPLCとしても利用することができるといった特徴がある。

「Agilent 1260 Ininity II SFC」のハードウェア概要

また、SFCとHPLCを連続分析中に切り替えて自動分析することも可能。検出器としては、ダイオードアレイ検出器(DAD)や蒸発光散乱検出器(ELSD)などを利用することができるほか、シングル四重極、トリプル四重極、飛行時間型(TOF)、四重極飛行時間型(Q-TOF)などの質量検出器を接続して、SFC/MSまたはLC/MSとして利用することも可能となっている。

さらに、独自のFeed Injection Technologyを採用したマルチサンプラ(432個のバイアル、ウェルプレート内の6000以上のサンプルに対応)を活用することで、サンプルを0.1~90μlの範囲で可変注入することもできるため、多くのサンプルを短時間で処理することが可能となっている。

マルチサンプラの注入量は0.1~90μlの可変で、最大6144サンプルを搭載することができる

加えて、バルブおよび最大32カラムまでの組み合わせを、完全自動でスクリーニングすることができるほか、異なるモデファイアも、溶媒選択バルブによって選択可能だという(メタノールおよびエタノール)。

柔軟な拡張性を有しているため、さまざまな用途に対応することが可能

なお、今回、日本市場への参入を決定した背景について同社では、国内における製薬(キラルの分析)、化学・材料(GCやHPLCとは異なる選択性での分析)、食品・飲料(高マトリックスサンプルの高速・高分離)といった分野でのSFCに対するニーズが拡大していること、ならびに従来のHPLC、GC、CE分野をSFCで補完することで、より広い分析に対するニーズに対応できるようになるソリューションの提供が可能になるため、としており、先行して市場展開を行ってるグローバルでの実績を武器に、積極的な販売を行っていきたいとしている。