「RecoPick(レコピック)」公式Webサイト

重要なデータが見つからない。あちこちにヒアリングしたりと"探す"という単純に見えてしまう行為が実はトータルでは相当な時間や労力になっているケースはよく聞く。"探しやすさ"を追求する分類や管理といった工程は組織において、極めて重要なタスクである。業務によっては重大な事故にもつながりかねない。

帝人(テイジン)は6日、同社のRFID棚管理システム「RecoPick(レコピック)」を用いた医療機器管理の有用性についての実証結果を発表した。

レコピックで管理される医療機器の様子(同社資料より)

RecoPickは、RFID(Radio Frequency Identification)を使い書籍や物品の管理の効率化を支援する棚管理システムだが、厚さ3mm弱の2次元通信シート「セルフォーム」を活用することで、専用棚無しで物品の入出庫やロケーションの管理を効率的に行える。「セルフォーム」は、東京大学発のベンチャー企業セルクロスが開発した2次元通信技術「@CELL」とテイジンのシート製造技術を用いて開発した2次元通信シートと呼ばれるもので、ムラの無い電磁界分布でICタグの読み取り精度を高める工夫が施されており、管理対象物のリアルタイム把握が可能になる。

6日、同社は聖路加国際病院における「レコピック」を使った医療機器管理の有用性について発表している。患者対応にあたるべき看護師が機器の持ち出しや返却を行うが、これが業務負担の増大が課題になっていたという。人の命を預かる医療の現場、その心理的負担が極めて大きいことは容易に想像できる。「レコピック」はUHF帯の電波を棚の表面に限定的に伝搬する特徴があり、他の医療機器への影響が少ないため2015年度に聖路加国際病院で採用され、その有用性の実証が行われた。

レコピックのアンテナシート

実証結果では、余剰在庫のある最も近い病棟を瞬時に判別、看護師などが臨床工学室に移動する回数が約45%削減、管理対象の医療機器を広げることで約85%と相当な業務削減を達成した。また、医療機器1台ごとの使用時間や使用日数から余剰在庫を推定でき、約1,900万円相当の機器の削減余地を見出している。そのほかメンテナンス時期の管理や機器稼働の標準化と綿密なデータによる把握が改善へと大きく貢献している。

帝人では、今後大きな病院を中心にこのレコピックを展開。2次元通信シート「セルフォーム」を活用した無線LAN用途やビーコンを使用した「ペーパービーコン」など、電波の「面」による伝搬用途をさらに開拓したIoTソリューションの充実を図ることで、2020年度には20億円以上の売上を目指すとしている。