英ARM社(以下、ARM)は、人工知能(AI)に関する意識調査の結果を発表した。

ARMが6月27日に公開したRene Haasによるブログ(出所:ARMプレス配布資料)

調査対象は、AIについて一定の知識を持つ一般消費者に限定され、米国、英国、スウェーデン、ドイツ、中国、台湾、日本、韓国における約4,000人からの回答がもとになっている。

主な調査結果としては、回答者のうち、AIが社会にプラスと考える割合は61%、変化を否定的に捉える割合はわずか22%であった。また、AIの最大の弊害としては、30%が雇用の不安を挙げているが、回答者はなおも肯定的で、大半の職種では、ロボットは人間の仕事を奪うのではなく、その能力を強化し、比較的退屈な仕事や危険な仕事での活躍が増えることで、人々をサポートすると考えているという。

その中で、最も影響を受けると考えられる職種は建設、配送、交通と回答された。調査回答者は、製造や銀行での雇用は、最新のAI技術によって最も破壊的な影響を受ける一方、調理、消防、農業に関連する職業は、今後も人間の領分であると考えている。これは、ロボットの将来について調査した人々の大半の見解であり、地域別では、最も肯定的な回答だったのはアジアで、次に米国、欧州と続いた。

全体を見ても、一般消費者は未来の見通しに驚くほど楽観的であり、61%の人々が、自動化とAIの発展により、「社会はより良いものになる」と考えているという。中でも、AIドクターの診療行為については、目の検査で57%、脳外科手術で41%が、問題ないと回答。さらに、人間の運転する自動車との比較で安全性の記録が実証された場合、55%が自動運転車を信頼すると回答、今後10年間で信頼すると予想した割合は70%だった。

ARMのグローバル マーケティング/ブランド/コミュニケーション部門バイスプレジデントであるJoyce Kimは、次のように述べている。「調査の結果、AIに関する楽観的な未来と機会が浮き彫りになったことは好材料ですが、その潜在能力については、氷山の一角を見ているに過ぎません。AIが雇用に及ぼす影響は破壊的なものですが、その機会と、私たちの暮らしをより魅力的なものにしてくれるという点で、これは管理可能で極めてポジティブな破壊です。STEM(科学・技術・工学・数学)への投資を拡大し、次世代の労働力にAI技術を教育することで、人々がロボット経済に取り残されることはありません。」