日本ナショナルインスツルメンツ(以下、日本NI)は、第2世代のベクトル信号トランシーバ(VST)シリーズのベースバンド版となる「NI PXIe-5820」を発表した。

NI PXIe-5820

同製品は、複素ベースバンド(I/Q)信号の瞬時帯域幅1GHzを達成したベースバンドVST。従来品の半分のサイズで12倍の瞬時帯域幅、より大規模なFPGAの搭載を実現しており、RFフロントエンドモジュールやトランシーバモジュールのテスト、ならびに、5G向け製品のテストなど、要求レベルの厳しいRFテストでの使用を見越して開発されている。

同製品は、NIのプラットフォームとエコシステムの重要な要素であり、活用することでエンジニアはより一層スマートなテストシステムを構築できるという。これらのテストシステムには、DCからミリ波まで600種類以上のPXI製品を組み合わせて使用することができ、PCI Express Gen 3対応のバスインタフェースを介した高スループットのデータ転送や、正確なタイミング/トリガ機能によるナノ秒未満の同期も実現するとのこと。

ユーザーはLabVIEWやTestStandなどのソフトウェアと、NIのパートナー企業などから提供される多様なアドオンIP、NIのアプリケーションエンジニアなどで構成されるエコシステムを活用することで、コストの大幅な削減や市場投入時間の短縮化を実現し、さらには将来の技術要件にも柔軟に対応できる戦略的なテストシステムを構築することができるという。

同製品は、広帯域のデジタイザ、任意波形発生器(いずれもI/Qの2チャンネル分)に加え、ユーザが自由にプログラミングできる高性能なFPGAを、2スロット幅のPXI Expressモジュール1台に搭載しており、計測アプリケーションに応じて計測処理を高速化することができる。また、RF VSTとベースバンドVSTのソフトウェアAPIが一貫しているため、容易にプログラミングすることができる。

さらに、1GHzの複素ベースバンド帯域幅を持つベースバンドVSTは、RFテストにおける多様な課題を解決するという。例えば、携帯電話や無線LAN用チップセットのベースバンドI/Qテストや、デジタルプリディストーションやエンベロープトラッキング技術を適用したRFパワーアンプの評価、さらには5G、IEEE 802.11ax、LTE-Advanced Proなどの新たなワイヤレス規格に準拠した信号生成・解析などが挙げられるということだ。