シュナイダーエレクトリックは7月4日、同社グループ会社のデジタルが、AR(拡張現実)技術を活用することで、工場などのいわゆる生産現場における保守作業の効率化を可能とするソリューション「EcoStruxure Augmented Operator Advisor(シュナイダーARアドバイザー)」を、2017年8月末より提供する予定であることを明らかにした。

同ソリューションは、工場やプラントにおける設備の保守などにおける作業支援をARを介して行おうというもの。タブレットのカメラを通して対象設備をリアルタイムに映し出すことで、実際の設備に仮想オブジェクトやデータなどを重ね合わせ、現場のエンジニアや作業員などが、マニュアルや指示書、図面などのデータをダイレクトに確認しながら作業を行うことを可能とする。そのため、作業手順やノウハウなどを標準化することができ、熟練者の経験や勘に頼らず、訓練を受けていない作業員であっても、簡単に作業を行うことが可能になると同社では説明している。

ARを使うことで、設備自体のパネルは閉じていても、内部の状況をタブレット上に示す、といったことも可能となる。ARのマーカーとしては、設備そのものをマーカーとする方法のほか、QRコードを用いる方法も利用が可能だという

具体的には、「保守作業の効率化」ならびに「人的ミスの削減」の2つの改善が見込めるとしており、実際に2016年11月より同ソリューションを先行して導入しているカリモクの総張工場では、保全員のスキルに頼らない故障原因の検出や、定期点検の作業効率化が確認され、故障時の設備停止時間の削減が実現されたという。

「EcoStruxure Augmented Operator Advisor(シュナイダーARアドバイザー)」の概要

ソリューションとしては、「ARアプリ(iOSのタブレット端末に対応。WindowsとAndroidに関しては、今後対応予定)」と設備に搭載されるARサーバ「Pro-face HMIサーバ」が基本構成となっており(Pro-face HMIサーバは既設のものを使用することも可能)、ARサーバを介して、バックエンドに置かれたSQLサーバやファイルサーバなどからデータを呼び出し、それを手元の端末で確認する、といったものとなる。

シュナイダーARアドバイザーのハード的概要。タブレットで利用できるARアプリと、Pro-face HMIサーバの組み合わせが基本構成となる

なお、価格は現場サイドでの作り込みの必要がないため、200万円(コンサルティング、ARアプリ代などを含む)から。導入期間も最短で1カ月としているが、工場などにより、条件などが異なるため、同社の専任者によるコンサルティングを介する形で提供が行われる予定。今後は、カスタマやSIerが自由にカスタマイズ可能なツールの提供や、セット機械メーカーに向けたセルフサービス型ARシステムの提供なども行っていく計画で、初年度で20社の導入を目指すとしている。

シュナイダーARアドバイザーの提供時期は8月末より。専任者によるコンサルティングなども含めて、200万円程度からの提供を予定しているという