ブロッコリーに含まれるスルフォラファンに注目が集まっている

厚生労働省が発表している「平成26年患者調査の概況」は、国内の糖尿病の総患者数は316万6,000人と推計しており、2015年の「人口動態統計」によると、同年に糖尿病が原因で死亡した日本人は約1万3,000人もいたという。

これだけ多くの患者がいるとなると、もはや国民病の一つと呼んでも差し支えない糖尿病だが、あるものを食べればその糖尿病の進行を食い止めることができるかもしれないとしたらどうだろうか。海外のさまざまなニュースを報じる「MailOnline」にこのほど、糖尿病に関するコラムが掲載されたのでその内容を紹介しよう。

先ほど、「ブロッコリーが糖尿病治療の鍵となる可能性がある」と主張する論文が発表された。ブロッコリーに含まれるフィトケミカルの一種である「スルフォラファン」が重要な役割を果たしているという。

私たちが空腹のとき、肝臓は継続的にブドウ糖を産生する。そして食事をすればこのブドウ糖の産生がインスリンによって止められる。

「肥満者の肝臓はこの正常な調節ができなくなり、実際に必要とされるよりも多くのブドウ糖を産生し始めます。これは空腹時血糖上昇と糖尿病の発現につながる可能性があります」とスウェーデンのルンド大学糖尿病センターのアンダーズ・ローゼングレン教授は語る。

「スルフォラファンはほとんど副作用がなく、ブロッコリーシェイクや飲み物として提供できるので、既存の2型糖尿病の治療法の重要な補完物になる可能性があります。現在、ブロッコリースプラウトエキスを機能性食品として利用できるようにするために取り組んでいます」と同教授は話す。

2型糖尿病は世界的に流行しており、3億を超える人が苦しんでいる。研究者たちは2型糖尿病に効果のある化合物は何かを調べるため、約4,000もの化合物を試した。その結果、スルフォラファンが最も有力だったという。

研究は97人の肥満者を対象に12週間にわたって行われた。凝縮ブロッコリー抽出物が与えられた参加者は、プラセボを与えられた参加者と比べて空腹時血糖値が劇的に下がったとのこと。

ブロッコリー以外にもキャベツや芽キャベツに含まれているスルフォラファンは、抗酸化反応を誘導する。これまでにガンと炎症性疾患に関して臨床的に研究されたことはあったが、2型糖尿病には関与していなかったとのこと。

なお、同教授は2型糖尿病に対する最も重要な治療法は、「健康な食生活と運動」に基づく生活スタイルへの変化であり、そのうえで薬物療法が必要だと説いている。

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記事監修: 杉田米行(すぎたよねゆき)

米国ウィスコンシン大学マディソン校大学院歴史学研究科修了(Ph.D.)。現在は大阪大学大学院言語文化研究科教授として教鞭を執る。専門分野は国際関係と日米医療保険制度。