JR東海は28日、次期新幹線車両「N700S」のデザインについて発表した。東海道新幹線の象徴である白地に青帯を踏襲しつつ、N700系シリーズから進化させた「デュアル スプリーム ウィング形」の先頭デザインに。前照灯を拡大し、新幹線では初というLEDライトを採用する。このデザインを反映させた確認試験車は2018年3月に完成する。

JR東海の次期新幹線車両「N700S」の先頭デザイン(画像はすべてJR東海提供)

N700SはN700系以来のフルモデルチェンジとなる東海道・山陽新幹線の次期車両。昨年6月に確認試験車(16両)の製作を発表しており、完成後に新技術の最終確認を行い、2020年度をめどに次期営業車両(量産車)を投入する方向で検討を進めるとのことだった。今回はN700Sの先頭デザイン・インテリアデザイン・座席デザインなどが公開された。

「デュアル スプリーム ウィング形」と呼ばれるN700Sの先頭形状は小牧研究施設での技術開発成果として採用されたもので、走行風を整流してさらなる環境性能向上を図るため、左右両サイドにエッジを立てた形状となった。前照灯はLEDライトの採用により省エネルギー化・照度向上・長寿命化を実現。N700系シリーズの前照灯より20%拡大することで照射範囲を広げ、視認性も向上させた。先頭部の青帯もN700系シリーズとは異なるデザインとなり、N700Sの「S」("最高の"を意味する"Supreme"に由来)を表現したという。

N700SとN700Aの先頭デザインの比較。N700Sは両サイドにエッジを立てた形状に

グリーン車のインテリア・座席デザインイメージ

普通車のインテリア・座席デザインのイメージ。コンセントも設置

インテリアデザインは機能性を考慮しつつ、くつろげる空間となるようにやわらかな曲面も取り入れ、ビジネスから観光まで幅広いニーズに対応。グリーン車・普通車ともに客室内はLED間接照明とし、天井を光学的に最適な形状とすることで室内照度を均一化した。荷物への注意喚起のため、停車駅に近づいた際は荷棚付近の照度を上げるという。車内テロップはフルカラー液晶とし、案内情報の視認性向上のため、画面サイズを従来より50%拡大。広い吹出口を確保することで室内温度の均一化も図った。

グリーン車は「ゆとりある空間と個別感の演出」をコンセプトに、横4列(2列+2列)の座席として荷棚と一体化した大型の側面パネルを採用するなど、ひとりひとりの空間を演出している。座席はN700系からの「シンクロナイズド・コンフォートシート」を進化させ、くるぶしが回転中心となるようにリクライニング機構を変更するとともに、太もも裏側への圧迫感を低減するなど、長時間座っても疲れにくい快適な座席とした。読書灯の照射範囲が拡大され、フットレストも大型化されている。

N700Sのデッキ(グリーン車)・トイレイメージ

普通車は「機能的で快適な空間」をコンセプトに、横5列(2列+3列)の配置とし、背もたれと座面を連動して傾けるリクライニング機構の採用でより快適な座り心地とした。グリーン車と同様、普通車も全座席にコンセントが設置される。デッキ部にはN700系を踏襲した曲面形状のパネルを採用。トイレは壁面を光沢のあるツートーンカラーの配色とし、スイッチ類を集約した操作パネルで利便性向上を図った。

N700Sの先頭デザインを模型で比較

東海道新幹線を走った歴代車両。写真左から0系、100系、300系、700系、N700A