京阪電気鉄道は28日、今年度の鉄道事業設備投資計画について、運転保安度の維持・向上や旅客サービス向上を目的に総額93億円の設備投資を行うと発表した。座席指定の特急車両「プレミアムカー」の導入に向けた整備を進めるほか、13000系の新造や6000系のリニューアル、伏見稲荷駅をはじめ駅施設のリニューアルなどを行う。

座席指定の特急車両「プレミアムカー」は8月20日から導入

「プレミアムカー」は8月20日から導入される予定。8000系(全10編成)の6号車に組み入れられ、オリジナルのリクライニングシートを配置するなど快適性とパーソナル空間の演出にこだわった。淀屋橋~出町柳間の特急として、平日・土休日ともにほぼ終日にわたり「プレミアムカー」の営業を行い、乗車に必要な「プレミアムカー券」(400~500円)は特急停車駅のインフォステーションなどで購入できる。今年度は「プレミアムカー」への車両リニューアルに加え、発券カウンター設置などの整備も進められている。

車両新造に関して、環境への配慮やバリアフリー対応、安全性の向上に主眼を置いて開発された車両13000系を来年上期に2編成(計14両)導入する予定で、営業運転に向けた新造計画を進めているとのこと。導入から30年以上経過した車両6000系のリニューアルも引き続き行われ、バリアフリー対応(車いすスペースや液晶型車内案内表示器など)と車内の刷新(内装材の取替えや座席の更新など)を進めるとしている。

伏見稲荷駅のリニューアル後の駅舎・ホーム(イメージ)と計画平面図

伏見稲荷駅のリニューアルは7月上旬から工事に着手し、11月の竣工を予定している。「伏見稲荷大社の千本鳥居をイメージできる駅」をコンセプトに、千本鳥居をイメージした朱色の列柱を配置した駅舎とし、ホームも上家の欄間とキツネの意匠を継承しつつリニューアルを行う。訪日外国人をはじめとする観光客が快適に利用できるように、トイレのバリアフリー化・美装化やサービス施設の整備も進める。

駅施設のリニューアルについては、その他にも京阪膳所駅でスロープの勾配を緩やかにするバリアフリー工事と利便性・安全性向上を図る改良工事、北浜駅で2018年度内の使用開始に向けたバリアフリー化工事(駅構内へエレベーター新設)とトイレのリニューアルが行われる。ダイヤ乱れなど異常時に情報提供を行う旅客案内ディスプレイは今年度中に20駅で導入し、京阪線全60駅への設置が完了する予定。これまでに主要駅7駅に設置された観光総合案内板は今年度、淀屋橋駅や清水五条駅など6駅で設置を計画している。

京阪線では観光総合案内板や旅客案内ディスプレイの導入も進む

運転保安度の維持・向上を目的とした「多情報連続式ATS」の導入(京阪本線・鴨東線淀~出町柳間と宇治線で導入済み。今年度は京阪本線枚方市~淀間と交野線で導入作業を進める予定)、駅や高架橋の耐震補強工事、変電所制御装置の更新、踏切監視用カメラの新設なども順次進める。今年度は中期経営計画(2015~2017年度)で位置づけた「成長軌道を取り戻すための3ヵ年」の最終年度であり、京阪電気鉄道では「快適性・利便性の向上」とともに「すべてのお客さまにやさしい環境づくり」にも取り組むとしている。