島津製作所は、「医薬品医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(略称:医薬品医療機器等法、旧 薬事法)に対応した、ガスクロマトグラフ質量分析装置「GCMS-QP2020 CL システム」の国内販売を開始した。価格は1712万5000円(税別)。

GCMS-QP2020 CL システムの構成

「GCMS-QP2020 CL システム」は、臨床用途に最適化されたシステムにより、信頼性と再現性の高いデータ取得を実現したガスクロマトグラフ質量分析装置(以下、GCMS)。

シールドプレートがフィラメントからの熱放射と加速電圧を抑制する特許技術を採用した高性能イオン源により、高感度で安定した分析を実現しているほか、1万u/sec以上の高速スキャンでの感度低下を最小限にした高速スキャン制御技術や、リテンションタイムの長期安定性を実現するガスクロマトグラフ、四重極の汚染を防ぐプリロット付き高精度MSフィルタなどを搭載する。

今回、同社がGCMSを医療機器として製造・販売するのは、本年3月31日より医薬品医療機器等法における医療機器の一般的名称に「質量分析装置」が新設され、GCMSの医療機器登録が可能になったことに伴うもの。この新設を受けて同社は、4月10日に医薬品医療機器総合機構(PMDA)へ届出および登録した。

医薬、食品、環境など幅広い分野で用いられる質量分析装置(MS)は近年、高感度化と高速化にともない、血液や尿などの生体試料中の成分を分析し、疾患のスクリーニングや健康状態のモニタリング法の開発といった臨床研究分野での利用が拡大している。

また、同社は、2013年に高速液体クロマトグラフ(LC)と高速液体クロマトグラフ質量分析装置(LCMS)の製造に関して、医療機器向け品質マネジメント国際規格であるISO13485 認証を取得し、2014年にはLCとLCMSを米国食品医薬品局(FDA)のクラスI 医療機器として登録した。また、2015年にはLCMSをクラスI 医療機器としてPMDAへ届出および登録するなど、質量分析装置を安心して臨床現場で使用するための製品供給やアフターフォローの体制を充実する施策を展開している。

今後は、国内の大学や病院、臨床受託分析機関などの臨床現場で質量分析装置の応用が加速することを期待しているとしている。