NECソリューションイノベータは、新たに開発した黄緑色蛍光タンパク遺伝子を導入した観賞花(ペチュニア、以下「光るペチュニア」)の開発に成功したと発表した。

室内蛍光灯下

紫外光下

(写真出所:NECソリューションイノベータプレスリリース)

同研究は、NECソリューションイノベータ、千葉大学環境健康フィールド科学センター、奈良先端科学技術大学院大学らの研究グループによるもの。

NECソリューショイノベータは、2006年に富山湾深海に生息する海洋プランクトン(Chiridius poppei)が持つ蛍光タンパクの遺伝子情報を明らかにし、2013年には産官学連携により、この遺伝子を観賞花であるトレニアに組込み、「光る花」を開発した。しかし、トレニアに組み込んだ蛍光タンパク遺伝子を効率よく光らせるためには、青色の可視光線を照射する必要があり、照射される光の色と近い色相にある黄緑色に蛍光するため、肉眼では分かりづらい状況にあった。このため、「光る花」の鑑賞にあたっては、可視光線をさえぎるため青色の補色となる黄色フィルターが必要となり、より手軽に観賞できる手段が求められていた。

蛍光タンパク質の改良について(出所:NECソリューションイノベータプレスリリース)

同研究チームは、観賞時に黄色フィルターを必要としない蛍光タンパク遺伝子を開発するため、蛍光タンパク遺伝子の配列を置き換え、目に見えない紫外光を最も良く吸収できる変異体を30万通りの候補から選別した。さらに、蛍光の輝度を十分に高める改良を加えることで、紫外光の照射時に明るい蛍光を発する改良版の開発に成功した。この花は、市販のハンディー型UVライトでも鮮やかな蛍光を確認し、手軽に鑑賞できる手段を実現したという。

NECソリューションイノベータは今後、花き業界への蛍光タンパク遺伝子の提供を行い、花き業界と共創活動を行う。また、IoTと組み合わせる等、観賞花を美しく光らせるためのライトデザイン設計も行っており、その一環として2017年4月より、東京藝術大学と共同で光源となるライトデザイン設計を進めているという。そのほか、今後は胡蝶蘭花など、鑑賞花として価値の高い品種での開発も予定されているということだ。

なお、今回の「光るペチュニア」は、7月11日~10月1日に国立科学博物館で開催される特別展「深海2017~最新研究でせまる"生命"と"地球"~」において展示される予定となっている。