JR東日本長野支社は21日、今夏の「信州デスティネーションキャンペーン」に合わせて小海線に導入する「HIGH RAIL 1375」の報道公開を実施した。キハ110系・キハ100系を改造した2両編成の「のってたのしい列車」で、車両コンセプトは「天空にいちばん近い列車」。7月1日から小淵沢~小諸間で臨時快速列車として運転される。

小海線の「のってたのしい列車」として7月1日にデビューする「HIGH RAIL 1375」。報道公開が6月21日に実施された

車両愛称「HIGH RAIL 1375(ハイレール イチサンナナゴ)」は、JR線で最も標高の高い地点を走る走る小海線の特徴を示した「HIGH」、線路の「RAIL」と、清里~野辺山間のJR線標高最高地点(標高1,375m)に由来する「1375」を組み合わせた造語。7月1日以降、臨時快速列車が1日3本設定され、日中に小淵沢駅10時30分発・小諸駅12時31分着「HIGH RAIL 1号」と小諸駅14時22分発・小淵沢駅16時54分着「HIGH RAIL 2号」、夜に小淵沢駅18時20分発・小諸駅21時51分着「HIGH RAIL 星空」が運転される。

「HIGH RAIL 1375」の使用車両は1号車が「キハ112-711」(定員29名)、2号車が「キハ103-711」(定員21名)。2両合計の定員は50名となる。車両設計をJR東日本テクノロジー、外観デザイン・ロゴデザインをジェイアール東日本企画が担当し、長野総合車両センターにて車両改造を実施。6月15日に完成したという。

外観・車内ともに「大人は少しノスタルジック、こどもはワクワクするような列車」を表現しており、外観は車体をキャンバスに見立て、金属風の質感を生かしつつ、小海線の夜空と車窓に流れる八ヶ岳の山々をモチーフにデザインされた。車体前面に「HIGH RAIL 1375」のヘッドマークを掲げ、車体側面にロゴデザインも施された。車内は四季の夜空をイメージさせる星座をあしらった座席、金属風の質感をベースとしたリベット調の窓枠、壁面を黒板に見立てたアート調の装飾などが特徴となる。

1号車はペアシート、シングルシート、BOXシートを設置。2号車の座席はリクライニングシート

2号車の運転台側に設置された「ギャラリー HIGH RAIL」

1号車の販売カウンター

1号車は運転台側に物販カウンターを設置し、小海線沿線のお土産やオリジナル商品、飲食などを販売する。客室内は通路を挟んでペアシート(7組14席)とシングルシート(7席)が並び、連結部側に4人で座れるBOXシート(2組8席)を配置。2号車は連結部側に乗降口とトイレを設け、客室内の座席はリクライニングシート(計21席)とした。運転台側に設置された「ギャラリー HIGH RAIL」では、円形状に配置した書棚に天文関連書籍を並べ、天井部に星空の映像を投影できる半球形ドームを設置している。

車内Wi-Fiによるオリジナルコンテンツも配信予定で、車載カメラによる前方・後方映像や「空」「宇宙」を感じられる映像などを手持ちのスマートフォンで楽しめる。なお、「無線LANによるインターネットへの無料接続サービスはございません」とのこと。

「HIGH RAIL 1375」の報道公開では、旅行商品の提供されるオリジナルブランチやスイーツ、デビューに合わせて発売される記念入場券(1,375セット限定)も紹介された

「HIGH RAIL 1375」をイメージしたラッピングレンタカーも登場

今回の報道公開では「HIGH RAIL 1375」の外観・車内が公開されたほか、デビューに合わせて登場するラッピングレンタカー(ホンダ「フィット」。6月26日から駅レンタカー佐久平営業所に1台配置される予定)も展示された。車内では旅行商品で提供されるオリジナルブランチやスイーツなどが紹介された。

「HIGH RAIL 1375」は全車指定席で、一般発売(座席指定料金は大人820円・こども410円)の他に旅行商品も発売される。「HIGH RAIL 1号」の旅行商品は乗車券・座席指定券とオリジナルブランチのセットで、小淵沢~佐久平・小諸間の旅行代金は4,400~4,600円。佐久市「職人館」館主、北沢正和氏の監修による地場産の素材や無農薬野菜を生かした山野の恵み豊かなメニューを提供する。「HIGH RAIL 2号」の旅行商品は乗車券・座席指定券とスイーツのセットで、小諸・佐久平~小淵沢間の旅行代金は3,400~3,600円。佐久市の老舗「和泉屋菓子店」による地元素材を生かしたスイーツが提供される。

夜に運転される「HIGH RAIL 星空」では、野辺山駅に18時58分に到着した後、20時1分の発車まで約1時間滞在し、「日本で一番綺麗な星空ベスト3」に選ばれたこともあるという南牧村の星空観察会を実施。小海線沿線の星空案内人が案内する。乗車券・座席指定券とオリジナルグッズ、特製弁当をセットにした「HIGH RAIL 星空」の旅行商品も発売され、小淵沢~佐久平・小諸間の旅行代金(大人)は5,100~5,300円。各列車の旅行商品はJR東日本「びゅうプラザ」やおもな旅行会社にて販売されている。

「HIGH RAIL 1375」は6月27日頃まで試運転を行い、7月1日から営業運転を開始する。小淵沢駅と小諸駅で出発式が行われ、同日から「小海線 HIGH RAIL 1375 デビュー記念入場券」も販売(1,375セット限定)される。「HIGH RAIL 1375」の臨時快速列車は7~9月の「信州デスティネーションキャンペーン」開催期間中、土休日を中心に、夏休み期間の7月下旬から8月にかけて平日も運転(火曜日は除く)。その後も11月まで1日3本、12月から3月まで1日2本の運転が予定されている。