安川電機は、研磨やバリ取りなどの熟練を要する複雑な接触作業のロボット化を促進するために、"人がお手本を示す"ことでロボットに動きを直感的に教える「実演教示機能」を開発したことを発表した。

実演教示機能のイメージ:研磨作業の教示(出所:安川電機Webサイト)

先進国の少子高齢化による労働力不足、新興国の物価・賃金の上昇によるコスト増加などにより、さまざまな分野でより一層の産業用ロボットの導入が期待されている。しかし、産業用ロボットには「教示」と呼ばれるロボットに動作を教える作業がユーザーにとって大きな負担となり、ロボット導入の障壁のひとつになっていた。

このたび同社が開発した「実演教示機能」は、金属ワーク(自動車部品、水栓金具、時計など)の研磨やバリ取り、組立作業などの作業者が実際にお手本を示すだけで、その作業をロボットが忠実に再現できるというもの。これにより、教示に関するユーザーの負担を軽減するとともに、ロボットシステムの立上げ時間の大幅な短縮が可能になる。

同機能では、人が作業を実演している最中の手先の位置姿勢や力をセンサで計測し、その計測データをロボットの動作に自動変換することで動作を教示することで、研磨のようなワークの曲面形状に合わせた3次元的な軌道と力加減を、短時間で簡単に教示できる。

人が練習を繰り返して上達するのと同様、ロボットが自ら練習を繰り返す(学習する)ことで、教示した熟練作業者の力加減を再現できるという。また、生産ラインのレイアウト変更によりロボットと研磨機の配置が変わっても、再学習することで実演時のスキルを簡単に再現できるため、短時間でラインを再稼働させることが可能となっている。