今月28日の就任を前に、フジテレビ復活への意気込みを語った宮内正喜次期社長。この16日に行われた会見では、社内はもちろん、社外からも視聴率・業績回復へのプレッシャーを背負っていることが、節々に垣間見られた。

フジテレビ次期社長の宮内正喜氏

今回の役員人事で相談役に退く日枝久会長から、フジテレビ社長就任の内示を受けたという宮内氏。その際にかけられた言葉は「今の惨状を、とにかく宮内の力ですぐに回復してくれ」だったそうで、「非常に分かりやすい、シンプルな話でした」と振り返った。その時は「とにかくエラいことだな」と大きな重圧を感じたそうだが、「やるしかないかなという気持ちに、すぐに頭を切り替えました」という。

一方、社長内定後に各所にあいさつをすると、異口同音に「業界でフジテレビが強くなってくれないと」と言われたことを紹介。「お世辞が8割9割あると思うんですけど」と冷静に受け止めながら、会見の終盤でも「異業種も含めて、『フジテレビが強くならないと困るんだ』と言われるんです」と再びこの話題に触れ、社外からも業績回復への大きなプレッシャーを受けていることを伺わせた。

それでも、これまで岡山放送、BSフジと10年間社長を務めてきた中で、「経営トップは孤独であると言われますけど、社の内外で必ず支援者・協力者が出てくるということを実感しました」と、目下の至上命題を解決するチーム形成に期待を寄せた。

まずは組織の大幅なスリム化に着手し、社内の風通しを良くすることを第一優先に掲げた宮内氏。「すぐにヒットのドラマやバラエティを作るというのは、今の状況ではなかなか難しい」と現状を見据え、「社員1人1人からでもいいから、話題を発信できるようなことをやって、それを全社を挙げて広げていくことから始めればいいんじゃないかと思います」との考えを示した。

そして、その具体例として「今司会をしております遠藤龍之介が芥川賞に入選するとか…」と、芥川賞作家・遠藤周作氏の息子である専務を引き合いに出し、会場の笑いを誘っていた。

宮内氏がフジテレビと、親会社のフジ・メディア・ホールディングス社長に就任するのに伴い、現在務めるBSフジの社長は、フジテレビ社長を退任する亀山千広氏に引き継ぐ。BSフジは、現在横並び5社で売上トップだが、宮内氏は「コンテンツ、映画製作等に関しましても、亀山社長はカリスマ的な存在ですから、亀山千広というブランド力をもって、同業他社を引き離してほしいと伝えました」と、『踊る大捜査線』などを生んだヒットメーカーにエールを送ったことを明かした。