東大、金属を絶縁体に変える微小垂直磁化を発見

東京大学(東大)は6月13日、磁性体に生じる磁化が、磁場と垂直方向に微小に生じていることを検出したと発表した。

同成果は、東京大学物性研究所 中辻知教授らの研究グループによるもので、2月27日付けの英国科学誌「Nature Physics」オンライン版に掲載された。

磁性体は外から与えた磁場と同じ方向に磁化することが古くから知られてきたが、熱力学の理論によると、それとは垂直方向にも磁化が発生するものと想定される。しかし、この「垂直磁化」は非常に小さいため、これまで実験的に観測されたことはなかった。

同研究グループは今回、パイロクロア型イリジウム酸化物である Eu2Ir2O7が、金属から絶縁体へと変化する際に磁化がわずかに変化することに着目。通常の磁化測定では磁場と平行方向の磁化のみを検出するため、磁場中での磁性体の磁気トルクをカンチレバーを用いて測定することで垂直磁化の検出を試みた。

その結果、垂直磁化が金属から絶縁体への変化を遂げる温度以下の温度で急激に増大していることが明らかになった。垂直磁化はイリジウムの磁荷が特殊な空間分布を持っていることに由来するもので、これが金属絶縁体転移の秩序パラメータになっている。つまり、この微小垂直磁化は金属を絶縁体に変化する要因であるといえる。

中辻教授は今回の成果について、「磁石ではない物質でのスイッチング機構、起電力効果発現機構などの研究を進めていくことで、今後小さな漏れ磁場を活かした高密度の不揮発性メモリや新たな環境発電物質などのデバイス材料物質の開発につながれば良いと思っています」とコメントしている。

(a)パイロクロア格子上のIrが作るall-in all-out(all-out all-in)構造と(b)トルク磁化の概念図。金属絶縁体転移を引き起こすとIrのスピンが正四面体に対してすべて外向き(あるいはすべて内向き)に向いた構造をとる。垂直磁化は磁気トルクを測定することで検出された (C)Tian Liang



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