九州大学、霊長類の色覚が顔色を見分けるのに適していることを証明

九州大学は、霊長類の3色型色覚が、顔色変化の検出に有効であることを実験的に証明したと発表した。

霊長類が持つ3種類の錐体の波長感度の模式図。M錐体とL錐体は長波長側に偏っている。

アカゲザル同一個体(メス)の顔(左:繁殖期、右:非繁殖期)。繁殖期の顔は赤く暗くなる。(出所:九州大学プレスリリース)

同研究は、九州大学大学院芸術工学研究院の平松千尋助教、カルガリー大学人類考古学部のAmanda Melin 助教、ニューヨーク大学人類学部のJames Higham助教らの共同研究グループによるもので、同研究成果は、英国夏時間6月14日に学術誌「英国王立協会紀要」オンライン版で公開された。

ヒトを含む多くの霊長類は、L・M・Sの3つの錐体視細胞により光の波長弁別を行う3色型色覚で世界を見ている。3色型色覚は、赤い果実や若葉を緑の葉の背景から見つけることに適しているため、祖先型である2色型色覚から進化したと考えられている。しかし、果実を見つけること以外でも3色型色覚が有効な場面が考えられ、霊長類の行動や生態学的意義と照らし合わせ、幅広く調べていく必要があるという。3色型色覚が有効な場面の候補としては、顔色変化などの社会的シグナルの検出が挙げられていた。

同研究グループは、霊長類の3色型色覚が、顔色変化の検出に適しているかを実験的に調べた。繁殖期に顔が赤くなるアカゲザルの写真を用い、様々な色覚の見え方を模擬して、ヒト参加者にメスの繁殖期と非繁殖期の顔を見分けてもらった。その結果、霊長類が持っているL錐体とM錐体の波長感度が長波長域に偏った3色型の色覚は、3種類の錐体の波長感度が均等に分布した3色型や、2種類の錐体により色弁別を行う2色型よりも顔色の変化をよく検出できることが分かった。この結果は、社会的シグナルの検出が3色型色覚の適応的意義のひとつであることを裏付けるもので、ヒトが顔色から感情を読みとり、健康状態を察知できるのも、霊長類が持つこのような色覚特性のおかげであると考えられるという。

今後は、霊長類進化のどの段階において、顔色変化が社会的シグナルとして使われはじめたかなど、霊長類の色覚の適応進化の過程に迫ることが期待されるということだ。



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