明日葉を切ったときに出る黄色い汁が、ポリフェノールの"カルコン" ※イメージ

皆さんは、夏野菜の「明日葉(アシタバ)」を食べたことがあるだろうか。明日葉は健康効果が実証されている野菜で、"ぽっこりお腹"の解消に効果があるという。

明日葉は、温暖な沿岸地に自生する日本原産のセリ科の植物で、関東地方から紀伊半島あたりまでの太平洋沿岸に自生している。"今日摘んでも明日また伸びてくる"ことから「明日葉」と言う名前がつけられたというほど、生命力が強い植物であるとのこと。4月~8月ごろまで、市場に出回っている。

明日葉には、「カルコン」というポリフェノールが含まれている。タカラバイオがメタボリックシンドロームの該当者および予備群の9人に、8週間、明日葉粉末(明日葉カルコン12.3mg / 日)を摂取してもらったところ、内臓脂肪面積は、摂取前の146.2平方センチメートルから、118.2平方センチメートルへと、約20%も減少したという(※)。

北千里 前田クリニック院長で医学博士の前田和久先生によると、ぽっこりお腹の正体は内臓脂肪であるとのこと。内臓脂肪を減らすためには、毎日の生活の適度な運動と、質にこだわった食生活を習慣にすることが重要であるという。

内臓脂肪は悪いものというイメージを持つ人も少なくないが、内臓脂肪を含む脂肪細胞は、抗メタボリックシンドロームホルモンと言われる善玉ホルモン「アディポネクチン」を作る働きがあるとのこと。しかし、運動不足や不規則な食生活によって脂肪が増え過ぎると、アディポネクチンを作り出す量が減ってしまうという。

前田先生は、アディポネクチンを増やす方法として、明日葉を摂取することをすすめている。明日葉に含まれるポリフェノールカルコンには、アディポネクチンの分泌を促す作用が確認されているとのこと。

明日葉カルコンを摂取すると、血中アディポネクチンが有意に増加する

タカラバイオが発表した研究結果によると、糖尿病の境界域(空腹時血糖110~125mg/dL)の69人に、3カ月間、明日葉またはプラセボ食(外見は同じで明日葉カルコンを含まない)を摂取してもらったところ、摂取前後の血中アディポネクチンを測定すると、明日葉を摂取した人は、プラセボ食を摂取した人と比べ、アディポネクチンが有意に増加したことがわかったという。

生活習慣病とその合併症の予防には、食事や運動によって体重をコントロールしつつ、善玉ホルモンである「血中アディポネクチン」を増やすことが大切であるとのこと。「健康のために積極的に明日葉を普段の食生活に取り入れるのもおすすめです」と前田先生はコメントしている。

恵泉女学園大学人間社会学部教授で野菜博士と呼ばれる藤田智先生によると、明日葉を切ったときに出る黄色い汁がカルコンであるという。明日葉が栽培されている八丈島では、カルコンは昔から化膿止めなど薬草として利用されていたとのこと。

「明日葉には、ビタミン、ミネラル、食物繊維が豊富に含まれています。さらに野菜には珍しい代謝を助けるビタミンB12も含んでいます」と藤田先生。明日葉独自のカルコンの健康効果や、栄養価の高さが注目され、お茶や青汁などの健康食品としての使用が圧倒的に多いという。

※2008年第13回日本フードファクター学会学術集会の発表より