サイバーエージェントは、連結子会社のCygamesと共同で、アニメIPへの投資を目的としたファンド「CA-Cygamesアニメファンド」を6月中に組成する。

アニメ領域におけるサイバーエージェントグループの事業拡充を目的としたファンドで、アニメ製作委員会への出資を通してアニメ作品の権利取得を狙う。アニメIPへの投資に特化して組成するもので、ファンド総額は30億円を予定している。Cygamesおよびサイバーエージェントグループにおけるアニメのゲーム化展開や、子会社のAbemaTVが運営するインターネットテレビ局「AbemaTV」でのネット配信をはじめとしたメディア事業展開を拡げていく。こうしたアニメへのファンドは昨年、同社が運営するクラウドファンディングサイトMakuakeにて「この世界の片隅に」が7000万円以上を集め成功を収めるなど、注目されている。

日本動画協会の「アニメ産業レポート2016」によると、日本のアニメ産業市場は2015年実績で約1兆8,255億円におよび、前年比12%増、3年連続で拡大している。また2015年、ついにキッズ・ファミリーアニメ(全日帯放送)と深夜アニメ(深夜帯放送)の制作本数が逆転した。同調査によると、今後、世界でもアニメが子供だけでなく大人のコンテンツとなる可能性は大いにあるという。今後大人向けアニメの需要が日本だけでなく、世界的に高まっていくと考えられる中で、話題のアニメのゲーム化権利や、先行配信、独占配信が出来ればビジネスを有利に進められるというわけだ。

「神撃のバハムート」など、ゲームの企画・開発・運営を行うCygamesは、アニメ製作および委員会への出資事業も展開している。これまでに「この世界の片隅に」等、TVアニメ・劇場アニメ作品への出資も行っており、今後日本発の世界的なヒットタイトルを生み出すために、ゲーム化展開が見込めるアニメに積極的に「CA-Cygamesアニメファンド」を通し出資していく。

サービス提供開始から約1年でダウンロード数が1,700万を突破した「AbemaTV」では、月間の番組視聴数ランキングでも上位にアニメ番組がランクインするなど、2016年4月開局当初より、アニメコンテンツの人気が高い。18-34歳がユーザーの中で最も比率が多い「AbemaTV」は、主に若年層を狙った専門のアニメチャンネルを5チャンネル有し、TVアニメ・劇場版の配信タイトル数は累計700作品を超えている。「CA-Cygamesアニメファンド」を通し、各チャンネルと親和性の高いアニメIPへの出資を行うほか、オリジナルアニメ作品の製作なども予定しており、独自のアニメコンテンツの拡充を行っていく。

2015年におけるアニメの海外販売は、契約数が前年度の4倍となり、輸出額は195億円から349億円とほぼ倍増した。「クールジャパン」の象徴となり始めている日本アニメが、「アニメ=子供が見るもの」という常識を完全に覆す時が来れば、サイバーエージェントが狙うこの「配信権」や「ゲーム化権」が大きな利益を生む存在になるのかもしれない。