関西電力と関西電力グループのケイ・オプティコムは6月7日、日本マイクロソフト(MS)と協力し、屋外における広域でのデータ収集や遠隔での機器制御などに対応する、LPWA無線技術(LoRa方式)を利用したIoTサービスを開発。ユーザー企業がIoT導入による効果検証などを容易かつ安価に実施できる実証環境を用意するために、PoC(Proof of Concept、概念実証)サービスを2017年7月から提供開始すると発表した。

新サービスの特長

同サービスは、関西電力グループの施設などに通信基地局を設置することで、屋外・広域でのデータ収集が可能。また、上り通信に加えて下り通信にも対応した無線通信機器を採用しているため、遠隔・双方向で機器制御などが可能で、LPガス・メーターの遠隔検針・遮断弁の制御といった広いフィールド環境における双方向通信を要するニーズに対応できるとしている。

データの収集・分析には、MSが提供するクラウド・プラットフォーム・サービスであるMicrosoft Azureを利用し、拡張性とセキュリティを確保しつつ、AI(人工知能)などの機能と組み合わせることで多様なニーズに迅速に対応できるという。

同サービスは、関西電力グループが開発した少ない消費電力で長距離通信が可能なLPWA(Low Power Wide Area)を採用し、双方向通信に対応するLoRa(ローラ)方式の無線通信機器と、ケイ・オプティコムが提供する通信サービスである「mineo」及び、Microsoft Azureの利用により実現。工場内などの局所的な利用のほか、ガスや水道メーター検針など屋外における広域でのデータ収集にも適用できる。 LPWAを利用する無線通信機器は上り通信のみの対応が一般的だが、同サービスで使用する無線通信機器は下り通信にも対応しており、任意のタイミングで遠隔での機器制御などが可能としている。

なお同サービスは、ケイ・オプティコムが通信基地局の設置からデータ収集・分析まで、ワンストップで提供する。

新サービスの利用事例

同サービスは多様な産業領域や自治体などでの利用を想定しており、提供を予定している事例としては、岩谷産業におけるLPガス・メーターの遠隔検針・遮断弁の制御などによる業務効率化、第一環境における水道メーター難検針箇所の遠隔検針による業務効率化、アドダイスにおけるビル管理・メンテナンス業務効率化の3例を挙げている。

同サービスの価格は、通信基地局のレンタル料が1台あたり月額3万5000円(税別)、通信端末のレンタル料が同1500円(税別)。なお、Microsoft AzureによるIoTプラットフォームやmineo利用料は、これらの料金に含む。センサー費用や通信基地局の工事費、アプリケーション開発支援費用は、別途個別見積。

関西電力グループと日本マイクロソフトは同サービスの提供を通じて、IoTに求められる機能などの技術検証をさらに進めると共にIoTのニーズやビジネス性の検証を行い、2018年度の本格展開を目指す。