米ホワイトハウスによると、トランプ米大統領が米時間の1日、地球温暖化防止の枠組み「パリ協定」から離脱すると表明した。米国は中国に次ぎ世界2位の温室効果ガス排出国。世界の190カ国以上が合意して今世紀後半には世界の温室効果ガス排出量を実質的にゼロにすることを目指したパリ協定の実効性が大きく損なわれる可能性が日本国内外各方面から指摘されている。

写真1 2015年12月のパリ協定採択時の様子(フランス政府提供)

写真2 2016年11月にモロッコ・マラケシュで開かれた「パリ協定」第1回締約国会議(CMA1)会場に集まった締約各国の政府代表ら(国連提供)

パリ協定は2015年12月にフランス・パリ郊外で開かれた「気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)」で採択された。世界の温室効果ガスの排出総量を今世紀後半には実質的にゼロにして産業革命前からの気温上昇を2度未満、できれば1.5度に抑えることを目指している。昨年11月4日に発効し、日本政府も同月内に批准した。批准各国は2020年から国別削減目標に基づく国内対策を実施することなどが求められている。

米ホワイトハウスや環境省関係者らによると、離脱の理由についてトランプ大統領は、協定が米国内の経済や雇用などに不利益をもたらすなどと主張、発展途上国への財政負担を停止する方針を明言したという。ただし、パリ協定の規定により発効から3年間は正式な離脱通告はできず、離脱が認められるのは通告のさらに1年後。米国が実際に協定から離脱するのは2020年11月以降になる。

トランプ大統領は既に国内の化石燃料産業振興策を打ち出す一方、環境対策予算や米環境保護庁(EPA)予算を大幅に削減する方針を明言している。

菅義偉官房長官は2日午前の記者会見で「米国の協定離脱は残念だ」とした上で「協定の着実な実施が重要であるという立場から米国に対し、今後も働き掛けを続ける」と述べた。

日本国内外のメディアによると、米国の協定離脱に対しては欧州各国を中心に厳しい批判が出ている。また、中国は世界1位の温室効果ガス排出国だが、習近平(しゅう きんぺい)国家主席は協定の早期批准に向け米国のオバマ前大統領と協調、2016年9月に批准を発表しており、今回のトランプ大統領の離脱表明に批判的と伝えられている。

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