ベルギーの独立系半導体ナノテク研究機関imecは、独ミュンヘンにて5月31日~6月2日にかけて開催された欧州最大の太陽光発電展示会・講演会「Intersolar Europe」にて、パートーナのベルギー国内の太陽光発電はじめ持続可能エネルギーに関する研究機関・大学の連合組織(コンソーシアム)である「EnergyVille」と共に、太陽電池および太陽光発電モジュールなどの日々のエネルギー収率を正確に予測し、さまざまな気象条件や照射条件における、二乗平均平方根誤差を2.5%に抑えたシミュレーションソフトウェアを開発したと発表した。

同モデルは、光学、熱および電気的パラメーターを組み合わせて、発電モジュールの温度勾配を詳細に表示。この勾配の効果を統合することで、エネルギー収量推定のための市販のソフトウェアパッケージよりも高い精度を得ることを可能にしたという。

太陽電池の発電効率および発電モジュール性能は、通常、標準的な実験室において一定の条件下で測定される。しかし、現実にはそうした標準的な実験条件とは異なる条件下で使用され、性能を判断しづらいという課題があった。現実世界の発電モジュールは、太陽光の照射、気温、風向、風速などさまざまな気象条件にさらされており、それも時々刻々変化する。こうした背景から、同モデルは、エネルギー効率の計算のための既存のモデルとは対照的に、太陽電池自体の物理的パラメータと使用されている材料から始まり、時々刻々変化する外部条件に起因する収率の変動データを含む形で、より現実に近い条件を実現。これにより、太陽電池およびモジュールのエネルギー収率に対する、それらの周辺条件の変化の影響をより正確に評価することを可能としたという。この結果、変動の大きい気象条件(雲の通過、風速の変化など)でも、二乗平均根誤差を2.5%に抑えた予測が可能になったとする。

なお、imecの担当者は、今回のソフトウェアを活用することで、太陽電池の短期間のエネルギー収量予測を改善することが可能となることから、機会費用の削減や、太陽光発電所/住宅用太陽光発電システムなどのエネルギー管理システムの改善につなげることが可能になると説明。より再生可能エネルギーのバリューチェーンの価値を増すことにつながるとしている。

imecらが開発した太陽光発電モジュールのエネルギー収量予測用の高精度モデルの活用イメージ (提供:imec)