結婚は健康にとってプラスに作用することを示唆する研究が多く発表されている

国勢調査を分析している国立社会保障・人口問題研究所によると、2015年時点で50歳まで未婚の日本人男性は23.37%、女性は14.06%だったという。結婚にはさまざまなメリットとデメリットが付きまとうため、結婚する・しないは個人の自由だ。

ただ、世に発表されているさまざまな研究は、健康面にポジティブに作用することが多い点から結婚を推奨しているようだ。海外のさまざまなニュースを伝える「MailOnline」にこのほど、「結婚する10の理由」と題したコラムが掲載された。結婚が健康に与える好影響を本稿で紹介しよう。

健康的な生活を送れる
アメリカの研究者グループが1,700人を20年以上追跡調査したところ、幸福な結婚生活を送っている人は、伴侶を健康的な活動に参加させているという。さらによく眠れ、飲酒を控えめにし、医師との約束をすっぽかさないなど、全般的に健康な生活習慣を身につけられるとしている。

長生きできる
2013年のアメリカでの研究では、独身者は中年で結婚した人よりも早期死亡のリスクが2倍高いという結果が得られている。

うつ病に打ち勝つ
1991年の研究によると、既婚者は同棲している男女と比べ、うつ病になるリスクが有意に低かった。また、精神疾患になるリスクも、少なくとも50%は低かったとのこと。

心臓発作に打ち勝つ
2013年のフィンランドのターク大学の研究者グループによると、既婚者は男女とも、そうでない人と比較して最大で心臓発作のリスクが66%低かった。既婚者の方が経済的にゆとりがあり、必要なときに伴侶が救急車を呼ぶからだと考えられている。

男性の脳卒中のリスクが低くなる
アメリカ心臓協会が行った2010年の研究は、肥満や喫煙、糖尿病といった脳卒中のリスクファクターの有無に関係なく、幸福な結婚生活を送っている男性は、独身者や不幸な結婚生活を送っている男性よりも致命的な脳卒中のリスクが64%低いことを明らかにしている。

術後の生存率がよい
2011年の研究によると、既婚者は独身者よりも心臓手術後の15年生存率が3倍も高かったとのこと。この違いはパートナーが世話をしてくれることに関係していた。

アルコール依存症になるリスクが減る

320万以上のスウェーデン人を対象にした研究によると、結婚はアルコール依存症になるリスクを男性で60%、女性で70%も低減させた。この恩恵は、アルコール乱用の家族歴がある人で特に強かった。

骨が強くなる
2014年のアメリカでの研究によると、既婚男性は独身男性や離婚した男性と比べて骨密度が高かった。女性の場合は、結婚そのものというよりも、頼れるパートナーがいることが強い骨と結びついているようだった。

大腸ガンに打ち勝つ
中国広州の研究者グループによると、性別に関係なく独身者の大腸ガン患者は、既婚者と比べて37%も死亡率が高かった。

女性の睡眠を改善させる
幸福な結婚生活を送っている女性は、独身女性よりも睡眠に問題を抱えていない。ピッツバーグ大学の研究者グループは、アルコールやカフェインの消費、性生活の充実度、経済状態にかかわらず、特に中年女性の場合は睡眠の質と幸福な結婚との間に関連があることを発見している。

さまざまなモノやサービスがあふれている現代は、独身でも幸福な人生が送れる。ただ、健康寿命を延ばして生涯を存分に満喫したいという人は、結婚をした方がいいのかもしれない。

※写真と本文は関係ありません


記事監修: 杉田米行(すぎたよねゆき)

米国ウィスコンシン大学マディソン校大学院歴史学研究科修了(Ph.D.)。現在は大阪大学大学院言語文化研究科教授として教鞭を執る。専門分野は国際関係と日米医療保険制度。