産業技術総合研究所(産総研)は6月1日、首都高技術、東日本高速道路、テクニーらと、インフラ構造物の打音検査を人工知能(AI)によってアシストし、異常度マップを自動生成するシステムを開発したと発表した。

同システムは点検ハンマーによる打音の違いを機械学習し、構造物の異常箇所と異常度合いを自動で検知するという。

検知結果がリアルタイムで点検員に対して提示されるので、図面化を含めた作業工数の削減が可能。また、非熟練者でも見落とすことなく点検作業を行えるため、熟練点検員の確保が難しい地方での活用に期待できるという。

同システムは計測ユニットとAIを搭載する制御・記録・解析用のタブレット端末、異常を通知する携帯デバイスから構成される。異音解析技術によって、ハンマーで叩いた箇所の異常の有無を測定。異音があった場合、携帯デバイスがLEDの点灯とブザー音によって異音をすぐに知らせるため、リアルタイムで点検者に提示することができる。 また、一連の打音検査が終了したら、異常度マップを自動的に生成する機能も備わっている。

異音検地を知らせる携帯デバイス

検査箇所の様子(上)と異常度マップ(下)

また、一般の点検ハンマーで検査することができるので、これまでの手順を大きく変えることなく、同システムを導入することができるという。

今後は、実構造物での実証実験を重ね、同システムの完成度を高めていくとしている。