木星の表面にアンモニアが雲のようにわき上がって多数の対流やサイクロンの渦を作っている様子を米探査機「ジュノー」が観測した、と米航空宇宙局(NASA)が26日発表した。研究成果は同日付の米科学誌サイエンスに掲載された。

画像1 米探査機ジュノーが昨年7月に木星到達後に南極上空5,2000キロで捉えた画像。直径が1,000キロにも及ぶサイクロンの渦が多数見える(提供・NASA/JPL-Caltech/SwRI/MSSS/Betsy Asher Hall/Gervasio Robles)

画像2 米探査機ジュノーが2017年2月2日に木星の上空14,500キロで捉えた対流の渦(提供・NASA)

画像3 木星に接近した米探査機ジュノーの想像図(提供・NASA)

公表された木星表面の画像は複数あり、NASAの研究チームがジュノーの観測データを基に作成した。このうち木星の南極上空のものはサイクロンのような渦が数多く発生し、大きいものは直径1000キロもあった。また別の画像では、アンモニアの対流がダイナミックな渦のようになっている様子がはっきりと捉えられていた。

研究チームはこれらの画像データから、アンモニアの対流はこれまで考えられていた以上に深い、とみている。

ジュノーは2011年8月に打ち上げられてから5年近く長旅を続け、昨年7月に木星に到達。細長い楕円(だえん)周回軌道に入った後、木星のガスなどの観測を続けて太陽系最大の惑星である木星誕生の謎に迫るデータを収集している。木星を周回する探査機は1989年に打ち上げられ95年に到達した「ガリレオ」以来。ジュノーには、木星以遠を観測する探査機としては初めて、原子力電池ではなく3枚の大型太陽電池パネルが搭載された。

木星は太陽系の中で大きさや質量が最大の惑星。質量は地球の約320倍もあり、赤道に並行して見えるしま模様や赤い斑点の存在がよく知られている。約12年かけて太陽の周りを回る。主に水素やヘリウムのガスでできているガス惑星。アンモニアの氷の雲が表面で美しいしま模様を作っている。木星誕生の過程が詳しく分かれば太陽系の起源の謎解明につながるとされている。

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