英ARMは5月29日、COMPUTEX TAIPEI 2017開幕前日に記者会見を開き、新しいCPUコア「Cortex-A55」、「Cortex-A75」、ハイエンドGPU「Mali-G72」を発表した。人工知能(AI)の性能を飛躍的に向上させるARM DynamIQテクノロジーをベースにした初のプロセッサとなり、搭載デバイスの可能性を大きく広げる高パフォーマンスを実現しているという。

初のARM DynamIQテクノロジー対応プロセッサとなる「ARM Cortex-A75」と「ARM Cortex-A55」

前年のデバイスと比べて1.4倍のパフォーマンスが向上したGPU「Mali-G72」

Cortex-A55は、15億台以上のデバイスに採用されている「ARM Cortex-A53」の後継となるCPUコアで、最新のARMv8.2アーキテクチャを実装。Cortex-A53と同水準の消費電力でありながら、以下のようにパフォーマンスが大幅にアップした。

  • メモリ性能:ISOバンド周波数、ISO製造プロセスにおいてCortex-A53比で最大2倍
  • 電力効率:ISOバンド周波数、ISO製造プロセスにおいてCortex-A53比で最大15%改善
  • 拡張性:Cortex-A53比で10倍以上

Cortex-A75は、最先端のモバイルデバイスで採用されている「ARM Cortex-A73」の後継となる製品で、単に性能を引き上げただけではない。高度な負荷を処理するCPUの能力を高め、AIやVR(仮想現実)、AR(拡張現実)なども快適に利用できるように設計されたARMのフラッグシップCPUコアとなる。効率性を損なうことなく、シングルスレッド性能が大幅に向上しているのが特徴だ。

両製品とも、DynamIQテクノロジーを介したAI性能タスク専用の命令に対応し、今後3~5年でAI性能を50倍以上に向上可能だという。

ハイエンドのモバイル向けGPUであるMali-G72は、Bifrostアーキテクチャをベースに、さらなる省面積化・低消費電力化を実現。次世代VRをはじめ、新しいサービスや技術に対応できるように設計さており、以下のような性能向上を実現している。

  • パフォーマンスは、前年のデバイスと比べて1.4倍
  • エネルギー効率は25%、面積効率は20%改善
  • 機械学習効率は17%改善
  • タイルバッファメモリ、タイラブロックの拡張、L1キャッシュサイズの拡大など、さまざまな面でBifrostを最適化

算術最適化とキャッシュ増加により帯域幅が削減されたことで機械学習の効率性が17%向上