Dropbox Japanは5月25日、都内で記者会見を開き、代表取締役社長に五十嵐光喜氏が就任したことを発表した。会見には同氏に加え、米Dropbox CTOのアディティア・アガーワル氏が出席し、それぞれ国内外のビジネス戦略を説明した。

Dropbox Japanの新社長に就任した五十嵐光喜氏

五十嵐氏は1964年生まれの53歳で、1987年に早稲田大学教育学部を卒業した。同年に東芝に入社し、社内システムに従事後、米国のソフトウェア企業であるSybaseやNetIQの日本法人、米国本社で日本向けのビジネスに従事。

2005年に日本マイクロソフトに入社し、サーバ クラウド製品「Windows Server 2008」などの責任者を務め、2008年以降、業務執行役員 サーバー プラットフォーム ビジネス本部 本部長、業務執行役員 エンタープライズ パートナー営業統括本部 統括本部長、業務執行役員 コンシューマー&パートナー グループ コミュニケーション パートナー営業統括本部 統括部長などを歴任。2013年より、Apple Japanで法人営業本部長を務めた後、2017年から現職に就任した。

同氏は「近年、コンシューマライゼーションは従来のハードウェアからソフトフェア、クラウドサービスに流れてきていることを実感しており、Dropboxはコンシューマに対して広いサービスを提供している。ビジネス面においては働き方改革に対して独自の取り組みを行っていることから、魅力を感じた」と社長就任に至った背景を語った。

働き方改革について同氏は、アイ・ティ・アールの調査結果を引き合いに出し「アンケートに回答した日本企業の70%が働き方改革を実行中・計画中だ。それらの企業の大半は業務にモバイル端末を活用しているため、われわれでは場所を問わずに仕事ができるリモート環境を提供する。また、モバイル端末の活用と情報にすぐアクセスできる状況が進めば進むほど、データを自社のファイルサーバで保有しているだけではスケーラビリティが不足することから、クラウドの活用が有効だ。それもわれわれは支援していく」と、意気込みを述べた。

日本におけるビジネス戦略に関しては「SMB(中堅・中小企業)、リモート業務や社外とのやり取り、大きなファイルを扱うマーケティング/デザイン/セールス(MDS)、メディア、建設業界などにフォーカスするとともに、働き方改革を支援していくために従来のクラウドストレージベンダー以上のことに取り組む。その一翼を担うのがドキュメントサービスである『Paper』だ」と、五十嵐氏は説明した。

日本で注力する領域

Dropboxの独自性

米Dropbox CTOのアディティア・アガーワル氏

一方、グローバルのビジネス概況について説明したアガーワル氏は「現在、企業のファイルサーバとして使用する『Dropbox Business』を導入している企業は20万社に達し、全社の年間売上高が10億ドルを突破した。われわれが独自性を持っていることには理由があり、最新データの共有、速さ・安全性、信頼・実績が挙げられ、今後もこれらのことは継続していく」と胸を張る。

そして同氏は「3月にマークダウンに対応したエディタを備え、クラウドを通じてドキュメントの共同編集や共有などに使えるPaperを発表した。シンプルかつ直感的なUIを備え、20カ国20言語に対応し、会議時間やメールのやり取りに伴う時間を削減できる。今後、Paperも含め、われわれのビジネスを加速していくため五十嵐氏を迎えた」と述べた。

左からアガーワル氏、五十嵐氏