アナログ・デバイセズ(ADI)は、SiC(シリコン・カーバイド)やGaN(窒化ガリウム)などのパワー・スイッチ技術に求められる高速スイッチングとサイズの制約に対応し、かつIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)やMOSFET(金属酸化物半導体電界効果トランジスタ)向けに切り替え特性を確実に制御できる、スモール・フォームファクタの絶縁型ゲート・ドライバ「ADuM4120」および「ADuM4121」シリーズを発表した。

小型絶縁ゲート・ドライバの新シリーズ

同シリーズは、アナログ・デバイセズの定評あるiCoupler絶縁技術と高速CMOSおよびモノリシック変圧技術を組み合わせ、CMTI(コモンモード過渡電圧耐性)性能を犠牲にすることなく、極めて低い伝播遅延を実現した絶縁型ゲート・ドライバ。

フォトカプラやパルストランスなど従来の技術では、遅延時間を短縮しつつCMTI性能を維持するのは困難だが、同製品では新しいインバータ・アーキテクチャが持つ高速スイッチング性を生かせるようロバストに設計されている。

複数のパワー・スイッチを必要とするシステムでは、小型SOICパッケージの絶縁型ゲート・ドライバにすることでプリント回路基板のレイアウト・スペースを最小限に抑えることができるのに加え、冷却の要件も軽減できるという。

さらに、小型であることから、パワー・スイッチの近くに配置してドライバとスイッチ間の寄生インダクタンスを削減できるという。高い温度範囲や動作電圧に対応できる同シリーズは、ソーラー・インバータ、モーター・コントローラ、工業用インバータ・アプリケーションのエネルギー効率を高め、タイミング性能の安定性を向上させるのに理想的だとしている。

「ADuM4120」および「ADuM4120-1」には、過熱防止のためのサーマル・シャットダウン機能を備えており、「ADuM4120」は入力グリッチ・フィルタによって誤出力を引き起こす可能性がある入力ピンのシステム・ノイズを減少させている。一方、グリッチ・フィルタがない「ADuM4120-1」は、33ns(typ)という低伝播遅延となっている。

「ADuM4121」および「ADuM4121-1」は、内蔵ミラークランプによって保護を強化しており、「ADuM4121」にはサーマル・シャットダウン機能も備わっているということだ。

価格は、「ADuM4120」および「ADuM4120-1」が1.58ドル、「ADuM4121」および「ADuM4121-1」が1.87ドル(いずれも1,000個受注時の単価)となっている。