子どもの名前はどうやって決める?

子どもの名前を決める。その子の一生を左右するかもしれない大切なものゆえに、ありとあらゆる手段で悩みに悩むという親も多いだろう。では実際、世界ではどのような名前のつけ方がされているのだろうか。今回、日本在住の外国人20人に、子どもの名前を考える時、母国ではどのようなことを参考にするのか、また、母国の人たちに多い名前はどのような名前か、聞いてみた。

宗教などを参考に

・「まだキリスト教の影響が強いので、聖人の名前や聖書の登場人物の名前をつけることが多いです。それも最近変わっていて、自由になっているですが。多い名前はマルコ、ダヴィデ、マリア、ジュリア、アリチェなどです」(イタリア/30代前半/男性)

・「イスラムに関係する名前がいいとされています。エジプトでは、男性はムハンマド、女性はマリアムが多いです」(エジプト/30代前半/男性)

・「インドネシアではイスラム教が多く、子どもの名前を考える時によく参考にするのは、預言者の名前やムスリムの偉大な人の名前です」(インドネシア/30代前半/男性)

・「キリスト教の名前を考えてみます。また、先祖の名前を使います」(ポーランド/40代前半/女性)

・「お坊さんに聞いて名前を決めます。仏教由来の名前が多い」(モンゴル/40代前半/女性)

・「お寺のお坊さんに出してもらう文字から始まる名前を付ける」(インド/30代後半/女性)

・「いろいろなものに参考します。本・親の母国の文化・宗教などです。私の場合は、宗教を参考したらしいです」(アメリカ/20代後半/男性)

・「カレンダーに聖人の名前が書いてあるので、それを見る親が多い。最近多い名前は、LeaとTheo」(フランス/30代前半/女性)

家族の名前を参考に

・「子どもが祖母・祖父の名前を引き継ぐことが一般的なので、考える必要はありません。男性なら、Giorgos、Nikos、Giannis、Dimitris。女性は、Maria、Anna、Eleniが多いです」(ギリシャ/30代後半/男性)

・「流行っている名前、祖父母の名前など。男性なら、ミコラ、イワン。女性なら、ナタリア、イリナなど」(ウクライナ/30代前半/男性)

・「子どもの両親もしくは祖父母などの意見で決める場合が多いです。昔のいい人と同じ名前や、いい意味を持つ名前をつけます。モロッコでは男性なら、ムハンマド、ハッサン、ヤスィンなど。女性なら、ファーティマ、ラシーダ、イルハームなどの名前をよく聞きます」(モロッコ/30代前半/男性)

歴史や流行も大事

・「ヒーローや歴史的な名前は多い。政治家や芸能人名もあり」(トルコ/30代後半/男性) ・「世代によって名前の流行は日本と同じように変わりますよ。最近は随分奇抜な外国風な名前も増えてきました」(ドイツ/40代後半/女性)

・「最近流行っている名前や、おじいちゃん、おばあちゃんにつけてもらうケースも多いです。幸せになるような名前をつけたがる傾向があります」(キルギス/30代前半/女性)

本や占いを参考に

・「占いの結果などを参考している。よくある名前は「雅「女亭」、淑芬」などだと思います」(台湾/20代後半/男性)

・「子どもの名前を選ぶ本があります。それを参考にして好きな響きを選びます。響き意外は多分、何も重要な要素はないと思います。多い名前は特にないですが、女性はオルガ、男性はアレクサンドルかな」(ロシア/30代前半/女性)

そのほか

・「親の好きな名前を付けてしまうと思います。多い女性の名前は、Maria、Ana。多い男性の名前はJose、Joao」(ブラジル/40代前半/男性)

・「韓国では、『作名所』というところで、子どもの運命にいいと思われる名前の候補をいくつか選んでもらって、親が選んだりする。また、兄弟の名前に同じ漢字を入れたり、意味を統一したりする。最近は漢字のない完全ハングルの名前も多い」(韓国/30代前半/女性)

・「親が子どもにふたつの名前をつける。ひとつは、正式な場面に使う本名。もうひとつはニックネーム。タイ人の本名の多くは、サンスクリット・パーリ語(昔のインドの言葉)由来のものが多い。サンスクリット・パーリ語は昔、神聖なる言葉として使われていたから、タイ人からすると美しい言葉で縁起がいい。でも、サンスクリット・パーリ語が由来の名前は、長くて呼びにくい。そのため、親が身近な言葉などを使って呼びやすいように子どもにニックネームを付ける。ニックネームはブタ、カエル、雨、ゴルフ、メイ、などが多い。でも最近、タイタンやアトムなど、少し長いニックネームが流行っている」(タイ/30代前半/女性)

・「意味が豊富な名前を参考にする。ベトナムで多い名前は、リン、ホア、ヴァンアン」(ベトナム/30代前半/女性)

総評

今回の意見では、宗教や家族の名前を参考にすることが多い傾向がうかがえた。特に宗教を参考にする場合は、自然と同じ名前の人が多くなるはずなので、「気がつけば、あの人もムハンマド」ということも多いのではないだろうか。日本でも、親の名前と同じ漢字を使ってというケースもあるので、そのあたりは共通していると言えそうだ。

興味深いのが韓国の「作名所」。大事な名前だからこそ、その道のプロの人に決めてもらうというのも親心のひとつだろう。また、タイのように本名とニックネームを両方決めるというのは、その国・地域の文化や歴史を反映した上で、理にかなった方法のように思われる。

国・地域によっては名前に流行があるようだが、日本のようにその年その年で流行が変化するのは珍しいのではないだろか。

調査時期: 2017年1月23日~2017年2月28日
調査対象: 日本在住の外国人
調査数: 20人
調査方法: インターネット応募式アンケート

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