理研、惑星分光観測衛星「ひさき」で木星オーロラの爆発的増光を発見

理化学研究所(理研)は5月23日、惑星分光観測衛星「ひさき」(SPRINT-A)によって木星オーロラの爆発的増光を発見したと発表した。ハッブル宇宙望遠鏡と木星探査機ジュノーによる観測データを組み合わせることで、木星周囲の広範な宇宙空間におけるエネルギー輸送機構の存在も示している。

同成果は、理研仁科加速器研究センター玉川高エネルギー宇宙物理研究室 木村智樹基礎科学特別研究員らの研究グループによるもので、5月20日~25日に開催される「日本地球惑星科学連合学会」のハイライト論文として発表された。また5月25日付けの米国科学誌「Geophysical Research Letters, Special Issue Early Results: Juno at Jupiter」にも掲載される。

木星のオーロラは、木星周辺の宇宙空間からのガスが木星磁場に沿って極域に降り込み、大気と衝突したときに発光する。このガスの一部は、木星の自転や磁場がエネルギー源となって何らかの過程により加速され、光速の99%以上の速度を得ると考えられているが、その詳細は不明となっていた。先行研究では、木星から遠方の宇宙空間に何らかの過程で蓄積された電磁的なエネルギーが、突発的に解放され木星方向に輸送される過程で、ガスの加速やオーロラの励起が起こるという仮説が提案されている。

今回、同研究グループはひさきによる木星の連続監視と、ハッブルによる高解像度撮像によって、数時間程度で爆発的に増光するオーロラを発見。この観測結果から、オーロラの増光領域が木星極域の中緯度から低緯度に動いており、遠方の宇宙空間に高エネルギーのガスが出現し、その後、木星近傍に到達していることがわかった。

なお、この爆発的増光の約15時間前にジュノーは、木星へ伝搬する太陽風が作る衝撃波を検出している。この時期、衛星イオの火山活動も活発だったことから、木星の遠方に蓄積された火山ガスと木星磁場のエネルギーが、太陽風の衝撃波により解放され、高エネルギーガスを生み出し、加速された高エネルギーガスが木星近傍へ輸送されたと解釈できる。これは、先行研究の仮説を支持するものであるという。

木星の周囲には、地下に液体の水の海があり地球外生命が存在している可能性がある氷衛星があることから、同研究グループは、今回の成果について、今後この高エネルギーガスが氷衛星の生命環境に及ぼす影響を調査することで、地球とはまったく異なる生命環境の理解につながることが期待できると説明している。

オーロラ観測から推定される木星のエネルギー解放・輸送過程の概念図 (出所:理化学研究所Webサイト)

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