市場動向調査会社TrendForceの半導体市場動向調査部門であるDRAMeXchangeは5月17日、現在メインストリームのサーバプロセッサ市場で9割以上のシェアを有しているIntelが、2017年前半も同市場を制するのが確実になったと発表した。

同市場を狙うAMDとQualcommは、14nmや10nmといった先端プロセスへの移行を進めているが、サードパーティを含めたエコシステムやサポート体制の構築という点でもIntelに後れをとるなど、先行するIntelの壁は厚く、短期間に市場シェアを奪うことは難しいだろうとTrendForceでは見ている。

また、DRAMeXchangeのアナリストであるMark Liu氏は、エンタープライズ向けプロセッサがサーバ市場における最大のアプリケーションセグメントを構成しており、全体の需要の約60%におよぶと指摘しているが、現在、サーバ需要の約35%を占めるデータセンターのシェアが、今後、伸びていき、2020年までに50%を超えるシェアにまで成長することが予測されるとコメントしている。

AMDのNaplesはミッドレンジ、IntelのPurleyはハイエンド

サーバチップの動きを見ると、首位Intelの最新世代となるSkylake世代Xeonプラットフォーム「Purley」は14nmプロセスを採用。ハイエンドサーバ向けとなる「Xeon E7 v5シリーズ」は、8ソケット対応でISAおよびC602チップセットを備え、スケーラブルなバッファメモリによるコンピューティング能力の向上が予想されている。

一方のAMDの最新世代となる「Naplesプロセッサ」も14nmプロセスを採用し、28nm/32nmプロセスで製造されていた従来の「Opteron」から進化。Naplesは、「ZENマイクロアーキテクチャ」を採用することで、コンピューティングパワーを向上。Xeon E5 v4 2600などともろに競合する見通しで、AMDはミッドレンジ市場でIntelに競合することとなる。

さらに、ARMアーキテクチャベースのソリューションは、いまだに低消費電力環境での使用にとどまっている場合が多い。ARMv8サーバチップは、個々のプロセッサコアのパフォーマンスにおいてx86対応プロセッサより一般的に低いためである。こうした最新世代のARMv8ソリューションの多くは、顧客の要望に応じてカスタマイズも可能であり、10~16nmプロセスでの製造により、性能向上なども期待されており、現状、ストレージおよびネットワーキングサーバ向けに設計され、性能もXeon E5シリーズに匹敵すると宣伝されていることが多い。

なお、Liu氏は、AMDがNaplesのプラットフォームを特定のクライアントグループに販売する予定であること、ならびにARMアーキテクチャに基づくカスタマイズされたサーバチップのサプライヤが、GoogleやAmazon、Microsoftなどのクラウドストレージおよびコンピューティングサービスの主要プロバイダに的を絞ってビジネスを進めていくとの見通しを述べているが、Intelのx86サーバチップは、すでに市場におけるデータセンタ向けという位置付けを固めていることから、データセンター分野を引き続き支配していく見通しとしている。