国内製薬企業の2017年3月期決算が出そろった。東証1部上場の主要製薬企業(売上高1000億円以上)の業績は、16年4月の薬価改定に円高の影響も重なり、売上高は前年比3.3%減、営業利益は4.6%減となった。株式会社クイックの運営するAnswersNewsが、17年3月期を中心に各社の直近の決算を集計し、ランキングをまとめた。

集計対象は東証1部上場の製薬会社と、異業種の東証1部上場企業が手がける医薬品事業の計42社で、後発医薬品企業も含む。

「売上高ランキング」1から20位 (出典:AnswersNews)

「売上高ランキング」21から42位 (出典:AnswersNews)

売り上げは武田薬品工業がトップとなった。国内の薬価改定や長期収載品の移管、円高の影響で減収となったものの、潰瘍性大腸炎・クローン病治療薬「エンティビオ」は1432億円とブロックバスターに成長。他にも、多発性骨髄腫治療薬や酸関連疾患治療薬などの新製品が業績を牽引した。

2位はアステラス製薬。前立腺がん治療薬「イクスタンジ」の成長はスローダウンしたものの、前年3位から1つ順位を上げた。大塚ホールディングスは抗精神病薬「エビリファイ」の特許切れで16.2%減と大幅な減収。3位に後退した。

16年度は国内で薬価改定があった上、為替も円高に振れたため、上位10社のうち8社が減収。抗精神病薬「ラツーダ」が引き続き好調な大日本住友製薬と、抗HIV薬のロイヤリティー収入が拡大する塩野義製薬は売上高を伸ばした。

前年から大きく順位を上げたのは、小野薬品工業や日医工など。小野薬品は免疫チェックポイント阻害薬「オプジーボ」が1039億円(391.3%増)と伸びたことで、売上高は1.5倍以上に拡大。15位から12位に上昇した。昨夏に買収した米セージェントの売り上げが加わった日医工は前年18位から順位を上げた。

営業利益では前年に続きアステラスがトップ。武田薬品は大幅な増益となったが、営業利益率は9.0%にとどまる。大塚HDや第一三共は3割を超える大幅な減益に。小野薬品は営業利益が前期の2.4倍に膨らんだ。

「研究開発費ランキング」1から15位 (出典:AnswersNews)

「研究開発費ランキング」16から31位 (出典:AnswersNews)

また、研究開発費ランキングのトップは武田薬品工業。2位は第一三共、3位はアステラス製薬だった。前期から研究開発費を大きく増やしたのは、ペプチドリームや日本新薬、小野薬品工業、塩野義製薬など。後発品企業の日医工と沢井製薬も大幅な伸びとなった。