完成した777X用貨物扉製造ライン

川崎重工業は米国時間の5月18日、米国の現地法人Kawasaki Motors Manufacturing(以下、KMM)のリンカーン工場において、ボーイング社の最新鋭民間旅客機であるボーイング777X用貨物扉の製造ラインが完成し、開所式を行った。5月から試験製造に着手し、今秋より本格的に製造を開始する。

リンカーン工場は、Kawasaki Motorsの製造部門として、1974年にモーターサイクルの生産を開始し、1981年にKMMとして独立した。現在は、パーソナルウォータークラフト「ジェットスキー」や鉄道車両など、多数の製品を生産している。

今回完成した製造ラインは、リンカーン工場にある既設建屋内の約2,800平方メートルのエリアに2015年12月から整備を進めていたもので、同社として初めて米国に設置した航空機用部品製造ラインとなる。製造ラインは、繊細かつ正確な塗装が可能な自社製塗装ロボットや、打鋲の対象範囲が拡大したオートリベッター(自動打鋲機)など、最新鋭の設備を導入して自動化を推進することで、高品質かつ高効率な生産を実施。また、同社が長年の量産品事業で培ってきた生産システム(KPS)を、航空機用部品の製造においても積極的に適用している。

さらに今後は、名古屋第一工場敷地内に新設したボーイング777Xの前部胴体や中部胴体の製造を担う新工場と同様に、将来のスマートファクトリー化に向けて、ICT/IoTなどのインフラ整備を計画している。同社は今回のボーイング777X用貨物扉の製造を契機として、リンカーン工場を米国における航空機用部品の主要製造拠点と位置付け、民間航空機事業およびKMMの発展・拡大に向けて積極的に取り組んでいくとしている。