OECDは5月18日、「生産性指標総覧(Compendium of Productivity Indicators)」を発表した。それによると、多くの国々において生産性の伸びの鈍化と投資の低迷が相まって、経済生産と経済的生活水準の向上を継続的に妨げていることがわかった。

労働生産性、G7トップは米国

2015年のG7諸国の労働生産性は、米国が最も高く、一労働時間当たりのGDPで68.3米ドル(名目購買力平価換算)。次いでフランスが67.5米ドル、ドイツが66.6米ドル、イタリアが53.6米ドルと続いた。日本は45.5米ドルでG7諸国中最低となり、OECD平均(51.1米ドル)を5.6米ドル下回った。

Labour productivity in 2015(出典:OECD東京センターWebサイト)

近年、労働生産性が急落している産業は、製造業、情報通信サービス、金融保険業。OECD諸国中、製造業の労働生産性が最も顕著に落ち込んだのは、チェコ、フィンランド、韓国。サービス部門の企業での落ち込みが大きかったのは、エストニア、ギリシャ、ラトビアで、英国でもかなりの落ち込みがみられた。

同レポートでは、労働力利用率(1人当たりの労働時間数)のGDPの伸びへの寄与度が、複数の国々、特に英国と米国で顕著に高まっていることが判明。これには「雇用率は上昇しているものの労働者1人当たりの平均労働時間数が少ないという2つの相反する影響、つまり主に生産性の低い職でパートタイム労働が多いことが反映されている」という。

OECDは、このような状況は「長期経済見通しにとっての懸念材料」であるとし、「生産性は最終的には『より賢く働く』―‘全要素生産性’で測る―という問題であって、『より熱心に働く』ということではない」と指摘している。