東京商工リサーチは5月17日、厚生労働省労働基準局が5月10日に初めて公表した労働基準関係法令に違反し書類送検された334件について分析した「労働基準関係法令の違反企業332社」の調査結果を発表した。

公表された334件のうち、違反した労働基準関係法令の内訳は、労働安全衛生法違反が211件(構成比59.1%)で6割を占めた。建設作業現場や製造現場などでの安全管理義務を怠ったことで事故が発生したケースが中心になっているという。

これに、違法な長時間労働などの労働基準法違反が63件(同17.6%)、賃金未払いや最低賃金を遵守しない最低賃金法違反が62件(同17.3%)と続く。

また、その他法(2件、0.5%)は、粉塵による疾病予防と健康管理が義務付けられているじん肺法違反と、家内労働者(内職者)保護を目的としている家内労働法違反が各1件だった。

社名公表された332社のうち、産業別で最多は建設業で115社(構成比34.6%)だった。これに、製造業の76社(同22.8%)、サービス業他68社(同20.4%)の3産業が突出し、この3産業で全体の約8割(同78.0%)を占めた。

社会問題化している時間外労働の割増賃金未払いや36協定無視など、長時間労働に関する労働基準法違反は63社だった。

3社の産業別内訳は、最多がサービス業他26社(構成比41.2%)で4割を超えた。女性社員が違法な長時間労働で過労死し、社長の引責辞任に発展した広告最大手の電通もこの中に含まれる。

労働基準法違反63社の産業別内訳 資料:東京商工リサーチ