都市大、外気温と室内快適温の適応モデルを開発- 省エネと快適性の両立へ

東京都市大学は、環境学部環境創生学科のリジャル ホム・バハドゥル教授らの研究グループが、オフィスにおける冷暖房などのエネルギー消費量削減を目指し、東京および横浜のオフィスビル11棟を対象とした温熱環境の実測と社員の快適感の調査を実施した。これにより、季節ごとの快適温度を明らかにし、快適温度と外気温度の関係から適応モデルを開発したことを発表した。この研究成果は、英国の研究ジャーナル「Building Research & Information」(2月22日付)に掲載された。

測定機器

回答者と測定機器

快適温度に関するフィールド研究は、日本ではあまり行われていない。環境省は、冷暖房を冬20℃、夏28℃に設定することを推奨しているが、フィールド研究に基づいた検証は行われておらず、実際のオフィスにおいて社員がどのように適応し、快適さを感じているかについて検証する必要がある。

人はある温熱環境に対し不快に感じるような変化が起こると、快適性を取り戻そうと行動する傾向があり、自ずと環境に合わせて調整の上、適応している。適応能力は、冷暖房等機器の使用を削減する可能性があるため、期待が高まっているという。

同研究グループは、2014年8月から2015年9月の期間、11棟のオフィスビル(東京7棟、横浜4棟)において、温熱環境の実測と社員(約1,350人)の快適感に関する調査を実施した。同調査では計器を持ち込んで測定する移動測定で行い、月に1度、対象者の日常的な環境で、温熱環境との関係を知るために室温、相対湿度、グローブ温度、風速、表面温度を測定し、寒暑感とグローブ温度の関係から快適温度を求めたという。

加えて、各社員の性別や年齢、冷暖房の好み、体質(暑がり、寒がり)等の基本事項、着衣量、活動量、回答記入時の寒暑感(体感や心理状態)を尋ねたということだ。

その結果、オフィスの平均快適温度(標準偏差)は、冷暖房非使用時で25.0℃(1.7℃)、冷房使用時で25.4℃(1.5℃)、暖房使用時で24.3℃(1.6℃)と大差はなかった。寒暑感尺度では「少し寒い」「中立」「少し暑い」を快適範囲と定義し、これらの尺度を回答した人の80%が実際に快適に感じたという。

また、最も多く回答されたのは「どちらでもない」で、多くの社員はオフィスの温度に満足している。快適温度とグローブ温度の関係から、外気の温度に応じて快適温度を定めても、人は自ずと環境に適応して快適に感じることができるため、エネルギー消費量を削減できる可能性があると説明している。

また、冷暖房の「非使用時」における快適温度と外気温度の相関関係は高く、外気温度の変動に応じて快適温度も変動する。そこで、研究グループは、外気温度から室内の快適温度を予測し、日本初となるオフィスにおける適応モデルを開発したということだ。

適応モデルの提案(快適温度と外気温度の関係)



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