チーズフォンデュはちょっとしたホームパーティー時に活躍してくれる

チーズが好きな人は多い。市販されているプロセスチーズはそのまま食べてもおいしいし、パルメザンチーズはさまざまな料理のアクセントに使える。あらゆる食事シーンで活躍するチーズだが、実は摂取することで思わぬ"恩恵"を私たちは得られているのかもしれない。

海外のさまざまなニュースを伝える「MailOnline」にこのほど、「チーズと寿命の関係性」にまつわるコラムが掲載されたのでその内容を紹介しよう。

テキサスA&M大学の研究者グループが実施した研究によって、チェダーやブリー、パラメザンといった熟成チーズが肝臓の健康に資することが明らかになった。チーズに含まれる化合物「スペルミジン」の働きによって、傷ついた肝臓細胞の複製が止まるという。このスペルミジンは肝線維症(肝臓内で組織結合が増加<繊維化>することで、肝硬変につながるとされている)や最も一般的な肝臓がんである肝細胞がんの予防になるとみられている。

肝臓病は英国とウェールズにおける第5位の死因であり、英国では2014年に1万1,000以上が死亡している。毎年5,500件ほどの新たな肝臓がんが報告されるが、肝細胞がんはそのうちの半分ほどである。チーズはこの数値を減らせる可能性があるというのだ。

研究者グループはマウスを使ってスペルミジン治療の効果を分析した。生涯にわたりスペルミジンを投与し続けると、マウスの平均余命は25%も増加したとのこと。同様の効果が人間にも見込めるとしたら、寿命は100歳になる可能性が出てくる。量の多寡にかかわらずスペルミジンは有用だが、サプリメントなどに使えるか否かについては、さらなる研究が必要となる。

また、研究者グループはマッシュルームや大豆、豆科植物、とうもろこし、全粒粉にも同様に寿命を延ばす効果があることをつきとめた。この研究成果を活用すれば、人間が食生活を少し変えるだけで長生きできるかもしれない。

今回の研究に携わったレユアン・リュウ氏は、人間の平均余命を延ばすのに役立つ行動がこれまでに3つ発見されていると話す。その3つとは「摂取カロリーを大幅に減らす」「メチオニン(肉などのタンパク質に含まれているアミノ酸)の摂取量を制限する」「ラパマイシンを使用する」だ。

「この3点を守れば脊椎動物の寿命が延びることがわかっています。しかし、一般の人は食べる肉の量を減らす、もしくは全く食べないということを受け入れがたく、ラパマイシンは免疫を抑制する機能があります。だから、スペルミジンに注目が集まるのです」

今後はますますチーズ人気が高まるかもしれない!?

※写真と本文は関係ありません


記事監修: 杉田米行(すぎたよねゆき)

米国ウィスコンシン大学マディソン校大学院歴史学研究科修了(Ph.D.)。現在は大阪大学大学院言語文化研究科教授として教鞭を執る。専門分野は国際関係と日米医療保険制度。