米Appleは5月3日 (現地時間)、米国の製造分野の成長を加速させるために10億ドル規模のファンドを設立することを明らかにした。CNBCのビジネス経済番組「Mad Money」にティム・クック氏 (Apple CEO)が出演し、同番組のホストであるジム・クレーマー氏によるインタビューの中で発表した。

米製造業の復興を公約としたドナルド・トランプ氏が米大統領に就任し、中国などの生産施設に製造を委託しているITグローバル企業に対して、米国での生産と雇用創出を求める圧力が強まっている。トランプ政権は企業の米国への投資を促すために、連邦法人税率を35%から15%に引き下げる税制改革の基本方針を4月末に公表した。

クック氏は、Mac Pro以外のApple製品の製造を米国に移転する可能性には触れずに、雇用創出からファンド設立の狙いを説明した。ほとんどの製品をアジアで製造しているAppleを批判する声もあるが、同社は米国企業からの部品調達やソフトウエア開発者のビジネス機会創出などで200万以上の仕事を米国で生み出している。iPhoneのような大きな経済を生み出す製品につながる先進的な製造技術の成長をサポートすることで、小さな波紋が将来的に経済全体へと広がり、大きな雇用創出へと拡大する可能性を指摘した。

インタビューではファンドの詳細には言及しなかった。Appleの最大の製造委託先である台湾の鴻海精密工業が米国で先進的な製造施設を新設する大型投資を検討しており、また東芝メモリの株式売却に関してAppleが鴻海とグループを組んで出資を検討しているという報道もあった。Appleは5月後半に最初の投資先を公表する。