琉球大学は4月28日、カロリー過多がなくてもメタボリックシンドローム(メタボ)を引き起こす食事成分を同定したと発表した。

同成果は、琉球大学大学院医学研究科薬理学講座の大学院生 喜名美香氏、坂梨まゆ子助教、筒井正人教授らの研究グループによるもので、3月28日付けの国際科学誌「Diabetologia」に掲載された。

メタボリックシンドロームは、心筋梗塞や脳卒中などの致死性動脈硬化性疾患のリスクを増 加させることが知られている。成因にはカロリー過剰摂取、運動不足、遺伝などの関与があると考えられているが、その詳細な機序は十分には解明されていない。

今回同研究グループは、「食事中の硝酸塩/亜硝酸塩の長期不足がメタボリックシンドロームを引き起こす」という仮説をマウスにおいて検証した。この結果、低硝酸塩/亜硝酸塩食を3カ月投与したマウスでは、有意な内臓脂肪蓄積、高脂血症、耐糖能異常が誘発。18カ月投与したマウスでは、有意な体重増加、高血圧、インスリン抵抗性、血管内皮機能不全が認められ、22カ月投与したマウスでは、急性心筋梗塞死を含む有意な心血管死が惹起された。

低硝酸塩/亜硝酸塩食18カ月投与は著明な内臓肥満を引き起こした (出所:琉球大学Webサイト)

また、上記の異常は、内皮型一酸化窒素合成酵素発現の低下、アディポネクチンの低下、腸内細菌叢の異常と有意に関連しており、これらの機序を介してメタボリックシンドローム、血管内皮機能不全、および心血管死が引き起こされていることが、今回の結果から示唆されているという。

硝酸塩は、レタスやほうれん草などの緑葉野菜に多く含有されている。同研究グループは、今回の成果について、たとえ食べ過ぎやカロリーの摂り過ぎがなくてもメタボリックシンドロームを引き起こす食事成分の同定に成功したものとしている。