VAMPS最新作『UNDERWORLD』:HYDEが語る、海外進出における戦術とは

VAMPS最新作『UNDERWORLD』:HYDEが語る、海外進出における戦術とは

4月26日にリリースされたVAMPSのNEWアルバム『UNDERWORLD』は、これまでの海外でのライヴ活動の成果を100%反映させた完全洋楽志向のアルバムといえるだろう。

ともすると日本人の反応が不安視されるところだが、そこは日本でもしっかり土壌を築いてきた彼らの確固たる自信で見事に振り切って見せてくれた。その様は、ある意味爽快なほどである。
じっくりと年月をかけ研究を重ねたうえで満を持して勝負に出た今作。日本ではL'Arc~en~Cielというモンスター・バンドのフロントマンでありVAMPSとしても音楽ファンに絶大な支持を得ているHYDEだが、対海外となると言葉の違い、文化の違い、価値観の違いというハンデがどうしてもつきまとってくる。果たして彼は、そこをどう乗り越えるつもりなのか。このインタヴューでは、その部分に焦点を当て話を聞いてみた。
 
 
―まず、アルバムタイトルの『UNDERWORLD』という言葉はいろんな取り方ができますが、今回このタイトルに込められた意図とは?
 
もともとVAMPSが表現していた世界に名前を付けただけなんですけど。VAMPSって"ありそうでない"ものをいつも表現しているんです。例えば、ライヴのステージでも、背景を地下とか路地裏っぽくしたりとか、ありそうだけど実際にはない場所をつねに意識していて。分かりやすく言うとマフィアですね。隠れた存在というか、パッと見は全然分からないけど、よく見るとあの人おかしいなとかいうような。
 
―内容は全曲英詞でかなり海外のシーンを意識されているような印象ですが、そういえば前回本誌のインタヴューで、VAMPSはアメリカのラジオで普通に自分たちの曲が流れるようなところが大きな目標だとおっしゃっていましたけど、今作もその目標に向けたものなのでしょうか。
 
そこへ向けて階段をのぼっていくうちのひとつじゃないでしょうか。ただ、今回は特に大きな階段をのぼったかもしれない。プロデューサーがついたというのが一番大きいんですけど、プラスで、ひとつのコンセプトというか、"こういうアルバムを作ろう"という意識がそれぞれのなかにあって、そこに向かってみんなで作り上げていったというのも大きいかな。
 
―コンセプトというのは?
 
アメリカのシーンにおいて自分たちがどう戦うべきかということを考えたとき、なるべくハードでキャッチーで、ほとんど同じような曲調っていうのが良いんですよね。VAMPSの作品はこれまでかなりバラエティに富んでいて聴く曲によって全然違う表情だったんですけど、逆にそれだと散漫になるので、どこを切ってもVAMPSらしいと感じられるようなひとつの表情というのを意識しました。
 
―最初にできた曲は?
 
一番最初は『SIN IN JUSTICE feat. APOCALYPTICA』ですね。去年の夏くらいにK.A.Zくんが曲を作ってきて。
 
―これも面白いコラボレーションですよね。というか、今回いろんな国のいろんなアーティストとコラボしているじゃないですか。こういうのってどうやって決まっていくものなんですか?
 
APOCALYPTICAに関しては、2年前にSIXX:A.M.のツアーで仲良くなって"次一緒にツアー廻ろうよ"って話になり、じゃあツアーに向けて1曲一緒に作ろうかという流れでしたね。VAMPSのメンバーは2人なので、じつはそういうコラボがすごく楽なんです。誰が来ても対応できる。ドラムが来ようが、ギターが来ようが、ベースが来ようが、ヴォーカルが来ようが何とでもなる。
 
―2ピースという身軽さを思いきり活かせると。
 
今回も別にコラボを増やしたかったわけではなく、なんかそういう自然な流れで1、2年の間に自然と集まったんですよね。気が付いたらいっぱい入ってんなぁと(笑)。
 
―出来上がってみて、どうですか?
 
作りたかったアルバムが出来たなと思います。
 
―ハードだけどメロウな部分もあり、そのうえで音楽性が一貫しているという。
 
うん。ただ、やっぱりVAMPSのアルバムとしては今までとはちょっと表情が違いますよね。もしかしたら日本のファンの中には"あれ?"って思う人がいるかもしれないけど、振り切ってアメリカ仕様として作りました。やりたいことをやらずして顔色を伺っているようじゃダメだなと思ったので、そこは敢えて貫きました。
 
―日本とアメリカでは良いとされるものが違ってきますからね。そこで改めて聞いてみたいのが、今回のアルバムは全曲英詞ですけど当然日本語の持っている情緒と英語の持っている情緒って違うと思うんです。英語の詞を歌う時はもちろん海外に目を向けていると思うのですが、一方で日本ではラルクにしかり、YOSHIKIさんや小室哲哉さんとのコラボで歌ったりもしているわけじゃないですか。それって似て非なるものなんじゃないかなと思うのですが、その辺ってどうなんですか?
 
そこは割り切るしかないですね。日本の好きな情緒とかエモの部分ってアメリカではウケないから、そこを売りにしてアメリカに行くとかなり遠回りだと思うんです。だから、今回敢えて削除しました。アメリカの土壌で受け入れられるような部分をあつめて、それによって逆に日本人がアメリカの音楽に対して好きな部分を出せたらいいかなと。
 
―その"日本人がアメリカの音楽に対して好きな部分"って何だと思います?
 
うーん、例えば日本人って西の音楽と東の音楽は聴くけど真ん中の音楽は聴かないですよね。ブルースが濃くない、LINKIN PARKとかそういう感じのハードだけどメロディアスな音楽。それを踏まえていうと、今作はちょっと西っぽいと思います。日本人は決して嫌いじゃないと思うんだけど、果たしてVAMPSのこれまでのファンが好きになってくれるかと言うと、ちょっとだけ自信がないです(笑)。
 
―その辺が悩ましいですよね。逆に、切り捨てた日本のエモーショナルな部分ってHYDEさん的にはどう思うんですか?
 
大好きです。
 
―こういう海外志向の音楽をやっていると、日本の音楽を湿っぽく感じたりだとかしません?
 
僕、そんなに染まってないですよ(笑)。日本の音楽もすごく好きだし、良さも理解できます。やっぱりなんだかんだで昔からそういう音楽が日本の中心にあると思うんですよね。でも、アメリカではそういうブームは10年前に去ったし、それを今向こうでやることは遠回りだということに気が付いたんです。日本らしい情緒を取ることで自分の音楽性のすべてがなくなってしまうわけではないし、そこは割り切って。そもそも構造が違いますからね。例えば日本だとサビだけで8つ以上コードが出てくるかもしれないけど、アメリカでは4つくらいのコードでOKだったりするし。僕はその両方をわかっているつもりです。
 
―あと、向こうで受け入れられるには歌もすごく重要だと思うのですが、発音のクオリティが上がってるなと感じました。前作はHYDEさんが英語で歌ってるっていう感じだったけど、今回の1曲目を聴いた時いきなりゲストヴォーカルかと思ったくらい。ラルクの時とは全然歌い方が違いますけど、それってバンドの方向性や立ち位置的なものを加味して意識的に変えているんですか?
 
それはラルクとかVAMPSとかに関わらず、いろいろ試行錯誤してきた結果なんです。だから、極端な話毎年違うんですよ。ラルクも今年は今までとは変わっているだろうし、VAMPSも今回のアルバムは特に変わっていると思います。これは変えたというよりも成長なんですよね。で、今回のレコーディングで僕が思ったのは、発音がいいからってアメリカの音楽には聴こえないということ。発声方法がすごく重要で、ネイティヴの子でも発声がちゃんとしていないと日本人っぽかったりするんですよ。だから、その発声を今回は特に重視して歌いました。発音はなかなかネイティヴにはならないけど、発声はずいぶん近づいたと思う。
 
―どう違うんですか? 具体的に。
 
分かりやすく言うと、日本人の歌はキンキンして耳が痛いんですよ。でも、海外のアーティストはそれがない。外国人だとそれが当たり前に出来るんですけど、日本人は出来ないから、同じ音楽をやろうと思った時に無理が生じるんです。
 
―骨格の違いもあるんでしょうね。
 
そうそう。喋り方も普段から腹式なんですよね、彼ら(笑)。
 
―あとは、果たして日本のファンがこれをどう受け取ってくれるかですね。
 
昔からのファンは"あれ?"と思うかもしれないけど、新しいファンはひょっとしたら良くなったと思う人もいるかもしれない。そういう意味では、どういうふうにみんなリアクションするのか楽しみですね。ちなみに、先にシングルとして出した『CALLING』は思ったより反応良かったです。どうかな? と思ったけど。この延長でいくと、もともとのファンにも好きになってもらえるんじゃないかな。ただ、気になるのはそこ以外のファン層なんですよ。いわゆる"グレーゾーン"がどういう反応をするのか楽しみ。
 
―VAMPSはある意味大きな転機を迎えたわけですね。ライヴに関して言うと、今まで日本では同じハコで何日間とか結構作り込んでやっていたじゃないですか。そういうのも止めちゃったりするんですか?
 
ライヴ自体はそんなに変えるつもりはないです。このコンテンツはすごく優秀だと思っているので、できればアメリカでもやりたいくらい。ただ、今の気持ちとしてはフェスに出たいですね。自分たちの音を他の層に聴かせるタイミングだと思っているので。
 
―なんで今までは出ていなかったんですか?
 
なんか違和感というか、アウェイな感じがするのが嫌で、無理して出るものでもないかなと今までは思っていたんですけど、前にOZZFESTに出た時に結構VAMPSってフェスもいいんじゃないかなと思ったんですよね。他のバンドも見たんですけど、こういう場所でも先入観をなくせばっていう手応えがあって。で、今回のアルバムは特に自信があるから絶対響くと思ってるんで、戦略的にフェスもちょっと入れてみようと思ってます。あとは、同じようにこれを海外にも持っていくので、オーディエンスがどういう反応をしてくれるか。食いついて欲しいな。
 
―アメリカのチャート狙えそうですか?
 
チャートはまだまだ全然ダメじゃないですかね。でも、この次でチャートを意識できます。ここで如何に良いアルバムかというのを広められることが次に繋がっていくと思うので。これでもし評価が良ければ、次の作品でチャートアクションは何かあるかもしれないし。
 
―早速5月からビッチリ海外ツアーもありますしね。しかし、ラルクやってVAMPSやってって、大変ですよね。
 
僕よりK.A.Zくんの方が大変なんじゃないですか(笑)? 彼はオブリ(Oblivion Dust)でもツアーをやってますからね。僕は東京ドーム2本だけなんで。もちろん演出とかずいぶん前から打ち合わせしていますけど、スケジュール的にはそんなに大変じゃないです。
 
―(ラルクとVAMPSで)世界観の乖離みたいなものはないんですか?
 
そこはまったく意識してないです。自然に、居酒屋に行く自分とフレンチに行く自分が違うのと同じです。
 
―VAMPSは居酒屋ですか?
 
居酒屋ですね(笑)。居酒屋が好きだけど、おめかししてフレンチに行くのも好きだし、たまにはそういうのがないとちょっと寂しいかなという感覚です。
 

2017.04.26 RELEASE
4th Album 『UNDERWORLD』
 
初回限定盤A[UICV-9236]
SHM-CD & Blu-ray
[Blu-ray収録内容] 2016年9月17日 ZEPP TOKYOのライヴ映像
¥5,400
 
初回限定盤B[UICV-9237]
SHM-CD & DVD
¥4,320
 
数量限定特別BOX仕様初回限定盤C[UICV-9238]
SHM-CD & Blu-ray & DVD & Rockin Jelly Bean×VAMPS オリジナルスカジャン
¥18,360
 
通常盤[UICV-1082]
SHM-CD Only
¥3,240
 
 
LIVE
VAMPS LIVE 2017 U.S.
2017.05.02 Birmingham, AL / Workplay Soundstage
2017.05.03 Knoxville, TN / The International
2017.05.04 Richmond, VA / Canal Club
2017.05.06 Baltimore, MD / Rams Head Live!
2017.05.08 Clifton Park, NY / Upstate Concert Hall
2017.05.09 Portland, ME / Aura
2017.05.11 Boston, MA / Middle East Downstairs
2017.05.12 Pittsburgh, PA / Diesel Club Lounge
2017.05.14 West Des Moines, IA / Val Air Ballroom
2017.05.15 Omaha, NE / Sokol Auditorium
2017.05.17 Traverse City, MI / Ground Zero
2017.05.18 Louisville, KY / Diamond Pub Concert Hall
2017.05.19 Atlanta, GA / The Loft at Center Stage
2017.05.21 Houston, TX / Scout Bar
2017.05.22 Dallas, TX / Gas Monkey Bar N Grill
2017.05.24 Denver, CO / Bluebird Theater
2017.05.25 Tempe, AZ / The Marquee Theatre
 
Blackest of the Black Festival
2017.05.27 Oak Canyon Park, Silverado, CA
 
VAMPS LIVE 2017 UNDERWORLD
2017.06.21~2017.06.28 ZEPP TOKYO
2017.07.08~2017.07.12 ZEPP NAGOYA
2017.07.15~2017.07.16 B.9 V1
2017.07.18~2017.07.19 DRUM LOGOS
2017.07.22~2017.07.26 ZEPP OSAKA BAYSIDE
2017.09.02~2017.09.03 ZEPP SAPPORO
2017.09.17~2017.09.18 SENDAI PIT

VAMPS LIVE 2017 BEAST PARTY
2017.08.05~2017.08.06 沖縄県 ぎのわん海浜公園屋外劇場
 

VAMPS
ヴァンプス HYDE(LArc~en~Ciel)とK.A.Z(Oblivion Dust)が、2008年に結成。VAMPSの代名詞となった全国のZEPPを中心に連続公演を行う"籠城型ツアー"をはじめ、アリーナ公演、野外公演、そして自身が主宰するハロウィンライヴイベントなど、多彩なスタイルのステージを展開している。結成当初より海外に照準を合わせ、2009年U.S.A.10公演、2010年にはアジア・ヨーロッパ・北米・南米を駆け抜けるワールドツアーを敢行した。2013年、ユニバーサル・ミュージック/デリシャス・デリ・レコーズへの移籍を発表、さらに世界規模のコンサート興行カンパニー"Live Nation"との提携を表明、海外進出への大きな飛躍を遂げる。2017年4月26日に4thオリジナル・アルバム『UNDERWORLD』をリリース、5月から北米ツアー、6月からは長期国内ツアーを予定している。
http://www.vampsxxx.com/


本記事は「ローリングストーン」から提供を受けております。
著作権は提供各社に帰属します。

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