九大、山口県での鉱物学的調査中に未知の鉱物を発見- 「阿武石」と命名

九州大学は、同大学大学院理学研究院地球惑星科学部門の上原誠一郎助教と理学府博士課程3年の延寿里美氏が、山口県阿武郡阿武町に広く分布するロウ石鉱床の鉱物学的調査中に未知の鉱物を発見したことを発表した。国際鉱物学連合の新鉱物・鉱物名・分類委員会への申請が承認され、「阿武石(あぶせき、英:abuite)」と命名された。この論文は4月9日、日本鉱物科学会の欧文誌「JPMS」に掲載された。

中央の明るい部分が阿武石。周りの鉱物も無色透明なため肉眼では見分けるのが難しい(出所:九大ニュースリリース※PDF)

このたび発見された新鉱物「阿武石」の理想化学組成はCaAl2(PO4)2F2で、Al-リン酸塩鉱物である燐礬土石やトロール石とともに産する。ロウ石鉱床ではロウ石やセリサイト、紅柱石などの Al-珪酸塩鉱物の産出が一般的だが、阿武石模式地である日の丸奈古鉱山ではさまざまなAl-リン酸塩鉱物がみられるという。これは、母岩と熱水が反応する際にリンを含む流体が関与したことが原因と考えられ、そのほかにも温度や酸性条件など複数の要因が重なり他の産地では見られない希少な鉱物を産しているということだ。

また、阿武石はごく一般的な元素で構成されているにもかかわらず、極めて限られた環境でしか形成されないと思われ、このような鉱物の性質や産状を調べることが地表付近での熱水活動の解明につながると期待されるとしている。

同研究者は「鉱物は地球を構成する重要な要素であり、今回の発見でまたひとつのピースが明らかになりました。」と述べている。

なお、5月13日には、開学記念行事の一環として、九州大学箱崎キャンパス総合研究博物館第三分館1階の鉱物展示室で鉱物標本の一般公開が行われ、阿武石も初公開されるということだ。



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