野村総合研究所(NRI)は4月24日、デジタル施策の効果分析サービス「InsightSignal‐デジタルパネル」を開始した。新サービスは、同社が2006年から提供している広告効果測定サービスにおいて、全国3万人の消費者パネルを利用し、PCやスマートフォンに掲出するデジタル広告のログ情報と、広告出稿の事前事後に行うアンケート調査結果を組み合わせ、より正確にデジタル広告施策の効果を把握するものとなる。

InsightSignal‐デジタルパネルの仕組み

これまでCookie情報を、取得済みの調査パネルのCookieパネルを用いて広告効果を測定する際には、広告出稿後の調査が一般的だったため出稿前からの変化(リフト率)が計測できなかったという。

一方、同社のシングル・ソース調査を基にしたInsightSignalでは、デジタル広告出稿の効果は、プロキシサーバのアクセスログデータを中心に分析している。しかし、広告手法の多様化やスマートフォンの急速な普及に伴い、ターゲットを絞って小規模に行う広告施策も増え、多人数のパネルによる調査手法が求められている。

同サービスは、Cookieパネルによる大規模調査の利点を生かしつつ、シングル・ソース調査の根幹となる広告出稿の事前・事後のアンケート結果を組み合わせることで、広告効果をより正確に把握できる。

アウトプット例

主な特徴として、出稿前後での効果測定、PCとスマートフォン双方の広告接触の補足、少量出稿への対応の3点を挙げる。

出稿前後での効果測定に関しては、デジタル広告出稿の事前と事後の2回調査することにより、接触者・非接触者それぞれの事前・事後の指標を把握するため、広告出稿の効果を正確に把握できるとしている。

広告接触の補足については、PCとスマートフォンの双方をCookie連携したパネルのため、Web上での広告接触回数を幅広く、正確に捕捉が可能だという。ただし、1端末のみの保有者はその端末のみ連携する。

少量出稿への対応に関しては、全国3万人の消費者を対象とするCookieパネルで広告接触を把握するため、クリエイティブ別の分析など、少量出稿の広告でも分析を可能としている。

同サービスは、従来の「InsightSignal」と組み合わせることにより、デジタル広告について、テレビCMとのクロスメディア分析に加えて、交通機関・駅や新聞、雑誌などの多様な広告メディア、さらには販促キャンペーンやPR施策との分析など、プロモーション全体を俯瞰して効果の把握が可能できるという。

これにより、従来のメディア別に施策を立てて効果を計測する「部分最適」ではなく、マス広告・デジタル広告と販促施策を網羅した「全体最適」を目指す戦略立案が可能になるとしている。

サービス利用までのフロー

同サービスの利用料は、InsightSignal‐デジタルパネル単体の場合は140万円(税別)から。InsightSignalと併せて申し込む場合は100万円(同)から。いずれも、事前調査3問、事後調査10問(各500サンプル)、配信数5000万インプレッションの場合であり、設問数や配信数に応じて、別途見積もりとなる。